こんにちは!芋沢院の榎原です☀️
あったかくなり、花粉症が増えたかと思えば
雪もふり、道路には雪もある
なんとも変な気候になっておりますね😅
なんだかいつもよりもアトピーの増悪で
かゆみが増して来ましたという
相談が早い気がします。
かゆみがひどくなる前に来院・ご相談くださいね。
さて本日は前回の続き、会陰ヘルニアの治療編です。
会陰ヘルニアの治療
①内科療法
・特段症状がなく手術を希望しない、
・手術が不適応(ほかの疾患があり麻酔リスクが高い)
などの場合には、内科療法を行います。
内科療法は基本的に根治目的ではなく、
臨床症状に対する対症療法となります。
・便秘や血便に対して
→下剤や整腸剤などの投薬、腸炎の治療を行います。
・排尿困難に対して
→逸脱した膀胱の整復や尿の抜去を行います。
場合によっては点滴や尿カテーテルの設置が必要となり、
特に排尿できない状態は非常に厄介です。
・痛みや食欲不振に対して
→鎮痛剤の投与や食欲不振に関連する原因(あれば)の治療を行います
このように、内科療法で薄くなった筋肉にできる処置やお薬はなく
症状の緩和しか行えることはありません。
進行し、症状が出ている場合には可能な限り手術を行います。
②外科療法
手術により薄くなった筋肉を分厚く戻すことはできませんが
開いた穴を塞ぐことができます。
また、腸や膀胱など、
ヘルニア孔より脱出する臓器を固定することにより、
脱出を防ぐ手術を同時に行うことで、
より確実な治療効果が期待できます。
術式
ヘルニアを塞ぐ手術にはいくつか方法があり、
最もポピュラーな方法は内転筋転移術と言います。
①内転筋転移術
緑色で囲った筋肉を骨から剥がしてうわ抜きに反転させる。
反転した図。緑で太く塗りつぶした部分が下端から上側へ移動していることに注目。
紫色は糸で筋肉同士を縫い付ける箇所。
図のように、骨盤にくっついている筋肉を一部剥がし
ヘルニアの孔の方へ持ち上げて周囲の筋肉に縫いつけ
孔を塞ぐという手術です。
人工材料を使わずに行える手術ですので、
感染のある場合には第一選択となります。
しかし手術を成功させるには熟練が必要であり、
筋肉が重度に痩せているケースでは
再発率が高くなるというデメリットがあります。
この方法の変法として、筋肉を剥がさずにただ孔の周囲の筋肉や
腱を利用して縫い縮めることで穴を塞ぐというやり方もあります。
②人工材料を用いた整復法
二つ目のメジャーな方法は
メッシュなど人工材料を用いて穴をふさぐという方法です。
青色で書いたような人工メッシュを用意します。
図のように穴に突っ込むようにあてがって縫い付けていきます。
この方法は痩せた筋肉を利用しないため
重度の症例でも実施できるという利点がありますが
人工材料は異物となるため、
個体によっては免疫反応で炎症を引き起こしたり
感染が起こるとメッシュが感染源となり
治癒しにくいため、せっかく入れたメッシュを除去する手術が
必要になったりします。
再発率は筋肉を利用する方法よりも低いと言われています。
③人工材料を利用した変法
3番目の方法としてメジャーではありませんが
メッシュを穴にあてがうのではなく、
直腸の周囲を囲うように設置する方法があります。
骨盤骨の下を通してさらに上の骨にも固定する。
ただメッシュをあてがうよりも、骨などの強固な組織を利用するため
再発率がさらに低く抑えられることが最大のメリットです。
反対にデメリットとしては
そのほかの術式に比べやや煩雑であること、
異物による反応が起こる可能性があることが挙げられます。
②の術式と同じように、感染や炎症が問題となるケースでは
メッシュの除去手術を行う必要があります。
当院では3番目の術式をメインに採用しています。
やはり再発率は低く、現在のところ良好な成績を得られています😊
しかし会陰ヘルニアはその子ごとに状態は異なるため
その時にその子にあった最適な術式が選択できるよう、
研鑽を積んでいきたいと思います🙇♂️
今回で会陰ヘルニアのお話は終わりです!
治療法についてはいまだに幾つかの方法があるという状態であり、
症例ごとに最適な方法を見極めるという
なんとも難しいお話でした😅
ここまで読んでくれた方ありがとうございました☺️