スタッフブログ

2024年06月24日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

アポキルの長期服用は大丈夫なのか

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

 

最近、立て続けにこういったご相談を受けたので

考えてみました。

 

最初に断っておきますが、結論はあくまでも私の意見です!

 

では、参りましょう

 

アポキルの能書(添付文書)での投与期間

こちらは事実として知らない方も多いかといますので

あえて書きますが

日本での承認を受けたアポキルの連続使用期間は

「1年以内」です

こう書いてるんですよね😅

こう書かれると、困っちゃいますね。

 

ただし、「添付文書にこう書いてあるんなら、1年以上使ったら違法じゃん!」

とは思わないでください><

あくまでも安全に使用するための推奨であり、

状況によっては獣医師の裁量により

飼い主さんが同意すれば1年以上の投与も認められます。

 

そして実際には1年以上の使用を行った上での安全性試験もクリアしておりますので

1年という期間はかなり安全に配慮した範囲だと思います🤔

 

また、アメリカでは日本より先に承認され発売していますが

投与期間に関する記載はないそうです。

 

アポキルの有害事象

では長期・短期に関わらず、アポキルの有害事象(副作用)はどんなもの

があるのでしょうか?

専門用語で説明してもわかりづらいので、ざっくりと説明します😅

①免疫への影響

痒みを抑えるために免疫に作用するため、短期的に行った安全性試験でも、

長期的な試験でも、免疫を抑えすぎることによる副作用が確認されました。

免疫が抑えられたことによると思われる、

皮膚の感染症と尿路(腎臓・膀胱)の感染症が認められました。

 

②消化器症状

臨床試験と長期安全性試験の中で、嘔吐や下痢が認められました。

 

③神経症状

ごく稀な様ですが、過剰な興奮や眠気を認める例が臨床試験や実際の現場で見られたそうです。

 

④皮膚症状

少ない割合ですが、乳頭腫という皮膚腫瘤が発生した報告があります。

 

以上の様な副作用がそれぞれ認められますが、

いずれも低い割合であったり、臨床で使う用量よりもかなり多い量で認められた報告であったり

630日という長期の観察で認められたものです。

さらに言えば、投与を中止することで改善するものであるので

 

総合的には、

安全性はかなり高いお薬

だと思って良いでしょう。

 

アポキルは神の薬?しかし。。。

結論、ステロイドよりもかなり安全で

長期投与も可能なアポキルは

これまでの治療の常識を一変する素晴らしい薬だというのは

紛れもない事実です。

 

しかし、それに頼りすぎて

ろくに診断しないまま「痒み止め」として

乱用する獣医が増えていることは

残念なことでもあります。

 

また、本当に必要なのかを考えないまま

飼い主様の不安を無視して

長期投与を行うことも

あってはいけません。

 

実際、アポキルはどう使うのがいい?長期投与は…

ここで私の意見ですが

アポキルは、対症療法の痒み止めとしての側面も確かに持ちますが

基本的にはアトピー性皮膚炎やリンパ腫など

病名をしっかりと診断した上で、

アポキルが有効で、必要であると判断した場合に使用を開始すべきお薬だと思います。

 

そして、可能な限り減量を試みたり、他の治療により中止できるのであれば

中止も検討したいと考えています。

事実、理想的な管理ができた子では

アトピーの悪化する時期(夏から秋など)のみ、アポキルを服用し

そのほかの期間はスキンケアなどで維持をする

というふうになっています。

 

そして1番の肝である長期投与についてですが

アポキルが手放せず長期に使用する例は実際いますが、

私はなるべくそうならない様に、あの手この手で減量を試みます😅

長期投与の安全性については、正直不明な点も多いです。

どうしてもアポキルしか使えず、それが最良の結果であれば

使用を続けますが、その際には可能な限り

副作用についてのチェックとフォローを行うことが重要だと考えます。

 

 

 

©森のいぬねこ病院