椎間板ヘルニア

~1日でも早く歩けるようになるために~

森のいぬねこ病院では

Ⅰ. 立てなくなったその日のうちに手術ができます。

Ⅱ. 幹細胞を用いた再生利用の研究に取り組んでいます。

Ⅰ.立てなくなったその日のうちに手術ができます。

椎間板ヘルニアの中でも、”突然立てなくなった”場合は外科手術による治療を考えてください。よく「ヘルニアは切らずに治したい」と考える方がいらっしゃいますが、ワンちゃんの椎間板ヘルニアでは、【外科療法が内科療法に比べて治療成績が良い】ことが【事実】として知られています。

椎間板ヘルニアと言っても、右記のように重症度によって5つのグレードに分けられますが、グレード3以上では外科療法のほうが治療期間が短く、さらに再発も少ないことがわかっています。

さらに椎間板ヘルニアの手術成績は、発症してから手術までの時間が短ければ短いほど良いと言われています。

つまりヘルニアを発症して、CTやMRIの検査をしてから後日に手術をするよりも、なんとか発症したその日のうちに手術を行った方が、回復する割合が高いのです(もちろん、その日のうちに手術ができなかったからといって、必ずしも回復しないわけではありません)。

ではなぜ、人間と違ってワンちゃんやネコちゃんの椎間板ヘルニアはここまで積極的な治療が必要なのでしょう?理由は大きく分けて2つあります。

  • ①ヘルニアを起こす場所が異なる
  • ②ヘルニアを起こす仕組みが異なる

ヘルニアを起こす場所

まず①の椎間板ヘルニアを起こす場所ですが、人間は腰椎でも「馬尾」と呼ばれる部分に起こるのに対し、ワンちゃんやネコちゃんは胸椎と腰椎の間あたりにヘルニアを起こします(右図参照)。

みなさんご存知のように背骨の中には脊髄が走っており、椎間板ヘルニアという病気は、椎間板がその脊髄を圧迫してしまうというものですが、人間のヘルニアで圧迫される馬尾という部分は、脊髄の中でもほとんど機能を持たない、いわゆる「切れ端」の部分です。

つまり馬尾にはほとんど機能がなく、圧迫されてもただただ痛みが出るだけの場所なのです。

“家庭内での交通事故”

それと比較して、ワンちゃんやネコちゃんでヘルニアを起こす「胸腰部」は、脊髄の中でもまだまだバリバリに機能を担っている部分です。ですのでそこが圧迫されると下半身マヒや排尿障害といった様々な機能的障害が生じるのです。

このように脊髄の重要な場所が突然傷害を受ける病気というのは、人間の病気の中では、交通事故などによる脊髄損傷に相当します。つまりワンちゃんやネコちゃんの椎間板ヘルニアは「家庭内での交通事故」と呼ばれており、迅速な対応が必要になるのです。

ヘルニアを起こす仕組み

次に②のヘルニアを起こす仕組みですが、人間の場合はハンセン2型と呼ばれ、じわじわと時間をかけて脊髄が圧迫されることが多いのに対し、ワンちゃんやネコちゃんのヘルニアは、突然椎間板が破裂し、中の椎間板物質が急激に脊髄を圧迫してしまいます。

これはハンセン1型と呼ばれ、突然の圧迫ですので、なるべく早急に圧迫を取り除いてあげることが必要になるのです。

以上より、ワンちゃんやネコちゃんの椎間板ヘルニアでは、立てなくなったときには迅速な外科療法が有効なことがお分かりいただけたと思います。

森のいぬねこ病院では、このような状況を踏まえ、椎間板ヘルニアに対してはなるべく迅速に対応し、必要があればその日のうちに検査~手術までを完了するようにしています。

椎間板ヘルニアの検査に関しては、森のいぬねこ病院では「脊髄造影検査」を行っています。これはCTやMRIといった高価な医療機器を用いず、なおかつそれらと同等の診断精度をもった検査方法です。ただ特殊な技術が必要ですので、あまり多くの病院では実施されていないようです(そもそも宮城県では椎間板ヘルニアの手術ができる病院自体少ないようで、脊髄造影検査となるとほんの数件だけだと思われます)。

脊髄造影検査を実施することで、CTがなくても、その場で診断することができ、その場で手術を行うことができます。つまり一度の麻酔で検査から手術までを完了することができます。

さらに手術に関しては、経験豊富な獣医師が執刀いたします。院長の西原は、前職は年間500件を超える手術を行う病院の院長として、高度な手術、特に椎間板ヘルニアの手術に関してはほぼ全頭、執刀してまいりました。また現在も獣医神経病学会に属し、これまで以上の技術を身につけるべく日々研鑽し、安心・安全な治療をご提供させていただけるよう努力しています。

椎間板ヘルニアの治療費ですが、検査、手術、リハビリ全て含め、約2週間の入院期間とした場合、およそ40~50万円ほどです。

©森のいぬねこ病院