2019年02月28日  

フィラリア予防100%の壁

こんにちは!!
院長の西原です。

今回は
『フィラリア予防100%の壁』
です。



フィラリア予防薬ってたくさんあるけど、効果は違うの?

フィラリア予防薬、各社からいろいろなものが製品化されていますよね。

動物病院が変われば、フィラリア予防薬が変わることも多いですし、同じ病院でも、年によって変わることがあります。

当院でも、過去に予防薬を変更したことがあります。

しかし、これは「より効果があるものを」ということではありません。

実は基本的には、動物病院で処方されるフィラリア予防薬であれば、どれも効果は同じなのです。

「じゃあなんでいろんな種類があるの?」

と思われるかもしれませんが、これは純粋に商売上のものです。

フィラリア予防薬は、ワンちゃんと暮らす方のほとんどが必要なものです。

なので、たくさん売れるので、各社が作るわけです。

もちろん、全く悪いことでもなんでもありません。フィラリア予防に関しては、動物病院で処方されるものなら、どれでも安心してお使いいただけます。

ちなみに、予防効果はどれも同じですが、それ以外に各社特徴がありますので、そういった面に関しては、また後日、お伝えしますね。

驚異的なフィラリア予防薬の予防率

このフィラリア予防薬、効果はどのメーカーのものでも同じと言いましたが、じゃあ実際どれくらい効果あるの?ってことですが、実はデータ上は、

予防効果は100%

なんです!!

つまり、【蚊が発生する時期から、いなくなる時期+1ヶ月】で投与すれば100%予防できるのです!!

通常、医学データにおいて、100%という数字はまず見かけません。

混合ワクチンや狂犬病ワクチンだって、効果が出ないケースもあり、100%ではありませんし、ノミ・マダニ予防薬も99%以上の予防効果ですが、やはり100%ではありません。

なので、フィラリア予防薬は本当に『予防効果の優れたお薬』であると言えます。

そして、もう一つすごいのは、それだけの効果を持つ薬なのに、副作用がほとんどありません。

抗生物質や下痢止めなど一般的な薬よりも有害作用は少ないと言われています。

なので、安心して予防薬を使っていただければと思います。



でも実際の予防が100%にならないのは?

しかし、実際の動物病院では、フィラリア予防薬をきちんと投薬していたにも関わらず、フィラリア症にかかってしまった!というケースが生じています。

「100%予防できるっていったのに、何言ってるの?」
と思われるかもしれませんが、実際の現場では、フィラリア予防薬を使っていたのに、フィラリアに感染してしまうことがあるのです。

これはなぜでしょう??

私が考える理由としては、以下の2つがあります。

◆うまく投薬できていない

◆予防期間が間違っている

うまく投薬できていない

フィラリア予防薬は、飲み薬タイプと注射タイプがあります。
注射タイプは、一度注射すると、1年間、予防効果が得られるものです。もちろん注射は獣医師が行いますので、注射タイプであれば、うまく投薬できなかったというケースはありません(ただし、今のところ、森のいぬねこ病院では、注射タイプは使用しておりません。その理由も後日お伝えしますね)。

問題は、飲み薬タイプなのです。

飲み薬は、錠剤タイプとおやつタイプがありますが、どちらも、確実にワンちゃんが食べてくれれば良いのですが、中にはあんまり好きじゃなくって、お薬を飲ませるのに苦労する方もいらっしゃいます。

そんな時、飲ませたつもりが、ワンちゃんが後でこっそり吐き出していた、というケースがあります。つまり、飲ませたつもりでも、実際には飲んでなかったという場合。

また、薬を砕いて与えた場合も注意が必要です。この場合は、ほとんどが砕いた薬を食事にかけたり、混ぜ込んだりして与えていますよね。

でも、中には、砕いた破片がたくさん食器に残って、実際に犬の口に入ったのが少なかった、というケースも考えられます。

さらには、チュアブルタイプのフィラリア予防薬を、分けて与えいた場合も要注意です。

小型犬と多頭で暮らしている方に多いのですが、大きいサイズのフィラリア予防薬を、一頭一頭の大きさに合わせて分けて与えているケースです。

森のいぬねこ病院では、あくまでも処方薬という見地からも、このような投薬方法は認めてませんが、他の動物病院さんではOKとしているところもあるようです。

しかし、チュアブルタイプの場合、チュアブル内でお薬が均等に混ざっていないケースもあります。つまり、分割しても、チュアブルに含まれるお薬の成分は均等に分割されないのです。

そのため、チュアブルを分割してしまうと、一方には薬の成分が少なくなってしまい、結果としてフィラリア予防効果がなくなってしまうことがあります。

予防期間が間違っている

フィラリア予防薬は、【蚊が発生した時期から、蚊がいなくなって+1ヶ月】の期間、きちんと投薬すれば、予防は100%達成できます。

しかし、この『蚊が発生する時期』が間違っていた場合、残念ながら100%の予防は難しくなります。

ではこの『蚊が発生する時期』というのはどうやって調べるのでしょうか?

実は、これは平均気温から算出する『予測値』を用いています。

HDUと呼ばれるものですが、専門的なことはどうでも良いです。

問題なのは、この予測値が、

●ずれていることがある

ということと、

●代表的な地域の予測値しかない

ということなんです。

あくまでも『予測値』なので、実際にずれることはあります。これを100%正確にすることは非常に難しいでしょう。
なので、100%正しく、蚊がいる時期に合わせて、フィラリア予防薬を投薬することは困難です。

また、こう言った予測値は、ほとんどが都道府県別で算出されています。

しかし、宮城県で言っても、仙北と仙南じゃあ平均気温、全然違いますよね?

そしたら、当然、蚊が発生している時期も違ってきます。

実際に、仙南にお住いの方からは、「1月になっても蚊を見かけることあるよ」というお話をいただいたこともあります。

つまり、予測値よりも本当はもっと長い予防期間が必要なのに、途中で止めてしまっていることになります。

もちろん、これでは100%予防することは不可能になってしまいます。

ちなみに、予測値については「あくまでも予測値なので、実際の予防は、予防薬を処方する獣医師の指示に従ってください」とあります。

少しでも予防率を100%にするために

森のいぬねこ病院では、少しでも予防率を高めるために、周辺の動物病院とは異なる取り組みを行っています。
それは、

フィラリア予防の通年予防

です。

フィラリア予防が100%にできない理由は、投薬上の問題と、投薬期間の問題があるとお伝えしました。

今のところ、投薬上の問題は、飼い主の方にアドバイスすることで、ほぼ問題なくなったと考えています。とはいえ、こちらはなかなか100%と言うことはできませんが。

一方で、投薬期間の問題については、1年を通して、毎月のフィラリア予防を行えば解決できてしまいます。

なので、当院では、1年中の予防をお勧めしているのです。

ちなみに、通年予防だと、

「余計に予防薬を飲ませると副作用も増えるのでは?」

というお声をいただきます。

しかし、九州や沖縄の病院さんでは、通年予防をしているところもありますが、決して副作用が多いという報告はありません。

また、「予防薬を冬の期間も飲ませると、余計に予防薬代がかかる」というご心配をいただくこともありますが、森のいぬねこ病院では、通年予防を遵守いただける方に対しては、予防薬を半額で処方しております。

つまり、半年分の価格で通年予防ができる、通常の予防期間の価格と変わらないのです。

このように、森のいぬねこ病院では、フィラリア予防に対して、少しでも効果的に、さらには少しでも飼い主の方が続けやすいように、工夫をしております。

フィラリア症は、かかると非常に厄介な病気です。
より確実に、より安全に予防していきましょう。

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