スタッフブログ

2023年12月02日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

膵臓の病気① 膵炎

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

 

今日はメジャーな疾患ですが

膵炎についてご紹介しようと思います!

 

細かい治療法などは割愛してますが、

どんな病気なのかイメージが掴めれば幸いです^^

 


膵炎

膵炎は読んで字の如く

膵臓に炎症が起きている疾患です。

軽度なものから死亡するほど重度なものまで

程度は様々あります。

 

また、動物種による違いも多く

猫よりも犬の方が頻繁に見かけますが

それは猫の方が症状を出しにくく

発見されにくいからだと考えられています。

また、発症する要因に関しても

犬では不適切な食事が

関与していると考えられていますが、

猫では食事の関連は不明で

人ではアルコールの関与が強く示唆されています。

 

どんな病気か詳しく

膵臓には前回のブログで説明した通り

強力な消化酵素が存在します。

その酵素が

なんらかの原因により、

膵臓内で漏れたり、異常に活性化してしまうとどうなるでしょうか?

 

本来食べ物を消化するはずの酵素が自分の体を消化しよう

大活躍します。。。

膵臓ではイメージがしにくいと思いますので

胃に例えてみましょう。

胃の中には、胃酸があります。

食べ物を溶かすイメージが強いですよね。

そんな胃酸が、もし胃の外に漏れ出したら...?

大変なことになりそうですね😅

膵炎は、それとほぼ一緒のことが

膵臓で起こるんです。

 

結果として膵臓だけの炎症ではなく

膵臓の周囲の臓器

腸管・肝臓・腎臓・腹膜など、お腹の空間内にある

あらゆる臓器に炎症を起こし

最悪のケースでは、腹膜炎、腎不全などを発症し

死んでしまうというわけです。

 

なんで膵炎になるのか?

冒頭でも触れた通り、

膵炎が起こる原因は動物により違いがありますが

大雑把に膵炎に関連する因子としては

・食事(不摂生な食事、暴飲暴食、犬では特に加熱した脂肪の摂食など)

・感染症

・薬剤などの中毒

・遺伝的な要因(ヨーキーやミニチュアシュナウザー)

・腸炎や他の近くの臓器の炎症

・ストレス

・血液の供給不足(循環不全や血栓など)

・腫瘍(膵臓そのものもしくは近くの臓器)

・外傷(特に、手術などの刺激)

・人においては、アルコール

 

が考えられます。

 

どんな症状を出すの?

猫では症状がわかりにくく、

単純な元気の低下や軽度から様々な程度の食欲不振

嘔吐や下痢が起こりますが、無症状なこともあり、

見過ごされるケースが多いです。

 

犬では明らかな症状を出すと考えられており

・食欲不振や元気の消失

に加え

・腹部の強い痛み

・嘔吐

・下痢

が認められます。

症状がより重度になると、

膵炎以外の臓器の障害により

さらに色々な症状(虚脱、尿量減少や多飲多尿、極度な緊張や攻撃性など)

を出すことがあります。

 

中でも特徴的な症状は

腹痛と嘔吐ですね。

 

診断法は?

特徴的な臨床症状と、

膵炎となりうる要因(食事、ストレス、高齢で他の疾患がありそうなど)

があれば、まずは血液検査を行います。

血液検査では

・炎症性細胞である白血球の増加

・炎症タンパク質のCRPの上昇

・膵臓酵素であるリパーゼの上昇

があるかをチェックします。

これら全てに上昇が認められるのであれば、

膵炎である可能性が高いです。

 

しかし、中にはリパーゼのみ上昇しているケースなどがあり、

そういった場合には判断は慎重に行います。

画像検査で腹部の臓器に異常がないか

特に超音波検査で膵臓や周囲の組織の形や見え方

問題がないかをチェックし

最終的に膵炎があるかどうかを判定します。

 

そして同時に、膵炎を引き起こしうる基礎疾患や

膵炎に続発した臓器障害がないかを

調べ、総合的な診断となります。

 

 

治療法は?

膵炎の治療コンセプトは

①炎症・痛みを取り除く

②膵臓を休ませる

③血液と栄養を十分に取る

(④原因治療を一緒に行う)

ことです。

 

重症度にもよりますが、

嘔吐が強く脱水があることがほとんどです。

まずはしっかりとした点滴と

最低1日の絶食が必要になりますので、

原則、入院での治療となります。

 

私の経験では、

ごく軽度で早ければ2〜3日、平均すると

おおよそ1週間以内の入院で

改善し、退院できることが多いです。

もちろん、併発疾患が多く

命の危険が高まっている場合にはその限りではなく、

注意が必要です。。

 

退院・治療後の生活

膵炎はよくわからないことも多い疾患ですが

食事の関与が疑われておりますので

帰宅後は

・高脂肪・高カロリーな食事を避ける

・一度の食事量を多くしすぎない

・しっかりとした休息と水分補給を行う

・ストレスを避ける

などの配慮をすると良いでしょう。

 

可能であれば元々の食事ではなく、

・低脂肪食

・新規蛋白食

への変更を行いましょう。

再発・再燃をすることもある疾患ですので

退院後もしっかりとした食事管理と

注意深い経過観察が必要となります。


次回は下痢を引き起こす、膵外分泌不全についてご紹介したいと思います!

 

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