こんにちは!芋沢院院長の榎原です☀️
もうすぐ夏も終わりですね。とほんとなら言いたいのですが、まだ暑いです><
残暑が厳しくなりそうですので熱中症にはお気をつけください😅
ドッグランのプールがもうしばらく、活躍しそうですね!
前回の記事に引き続き今回も肝臓についてのお話です^^
(前回の記事を読んでいないかたはこちらから→肝臓病ってなんなの?)
今回は病気のメカニズム?編です!
<肝臓の血液検査>
前回の記事で、飼い主様の中に
「獣医師に肝臓の数値が高いから肝臓病です」と言われたことがある
と仰る方が多いというお話をしました。
この、肝臓の数値の正体を軽く、解説していきたいと思います。
①肝逸脱酵素
肝臓には、肝臓の機能を担う肝細胞がたくさん存在します。
前回の例えたイメージでいうと、肝臓タウンの建物ですね!
この肝細胞(建物)が壊れたときに、中にある酵素(家具)が
血液中に流れ出てきたもの。
それが、肝逸脱酵素です。
肝逸脱酵素は細胞が壊されたときに出るものなので、
数値の高さはすなわち、障害の大きさや広さを示します。
建物がたくさん壊されて、家具や廃棄物で溢れかえっているというふうにイメージしてください。
しかし、この逸脱酵素は、細胞が壊された後も出続けるわけではないので、
障害が落ち着けば自然と低下していきます。
家具も廃棄物も壊された家の中にあった分しか出てこないですよね?
それと一緒です。
②誘導酵素
肝臓、特に胆嚢に関わる細胞には、負荷が掛かることによって
より多く血液中に出てくる酵素があります。
ステロイドや、成長ホルモンなどホルモンの影響、食事による脂肪の代謝の負荷
などです。
イメージ的には、ちょっと表現が難しいですが、
お祭り騒ぎって感じでしょうか😂
生活ゴミが増えていきますね。タチの悪い乱痴気騒ぎもあれば、
お上品なお祭りであっても増えます。
誘導酵素は、基本的に細胞が生きていますので、活動し続ける限り出続けています。
お祭りで建物は壊されません。
そのため、数値の低下は緩やかです。
③肝臓によって作られる物質
前回の記事で、肝臓では様々な物質が作られるといいました。
血液検査では、血糖(glu)タンパク質(TP,Alb,BUN)などです。
これらは肝臓で作られる体の活動に必要な物質たちであり
肝臓タウンの生産品です。
肝臓タウンが廃墟だらけになったら。。。
生産品が世に出回りませんので低下してしまいます。
そのため、これらの数値が低下した→肝臓に何かあったのか?
と疑う必要があります。
④肝臓によって排泄、代謝される物質
体の中では、老廃物が多く出ます。古くなった細胞や組織が壊された後の物質です。
血液検査でわかる物質としては、アンモニア(NH 3)が代表的です。
それらは肝臓で無毒な形に作り変えられ、尿や便に混ぜられて対外へと排出されます。
まとめ
①から④のどの項目が上がっているかによって、
獣医師は肝臓のどの部分に、どの程度の障害が起きているかを判断しています。
<肝臓の状態変化>
獣医師は肝臓の血液検査や画像検査の変化を見て、
肝臓にどんなダメージがあり、どんな状態になっているんだろう?
ということを推測し、原因を探ります。
ここで大事なことは、検査で数値だけ見ていても、原因はわからないということです。
あくまでも、分かるのは状態です。
数値を見る→状態を見極める→原因を推測する
というわけで、原因を考えるよりまず、肝臓の状態を正確にイメージする必要があります。
ここで、肝臓が街であるというイメージを膨らませると、理解しやすくなります。
様々なパターンを例に、ご説明していきます。
1.血液検査で肝逸脱酵素の数値が上がったら、、、
肝臓には何が起きている?
肝臓の逸脱酵素が上昇した=肝細胞が障害を受けているとさっきお伝えしましたね。
数値が高いほど、より広範囲の細胞に障害が起きています。
「細胞」だとイメージがつかない方のために肝臓タウンの絵を描いてみました。
(見づらくてすみません。)
肝臓タウンでは、建物が倒壊し、中にある家具やゴミが道路へ撒き散らされてしまいます。
(これが血液検査で発覚します)
そして、壊れた家を処理するために消防隊や警察がやってきていますね。
事件があった別のところでは、混乱により必要な物資が届かない家が出てきています。
まさに災害。といった感じです。
これがそのまま肝臓で起きていると思ってください。
少し、解説します。
ポイント1.建物崩壊・・・肝細胞の障害
ポイント2.建物内の家具やゴミなどが散乱、処理業者が回収・・・肝逸脱酵素が上昇
ポイント3.警察や消防・・・原因を除去するための白血球や炎症を抑えるためのホルモン、血液があつまる
ポイント4.周りの建物への物資不足・・・虚血、栄養素の不足が起こる
こういった事態が起きています。
例え話で少しは伝わりやすくなったでしょうか。。
<肝臓の再生>
しかし安心してください。
肝臓の細胞は再生力がとても強いです。
肝逸脱酵素が一時的に上昇したとしても、
原因が除去され、血液と栄養が十分に運ばれれば
数日もすれば回復します。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているように、実は小さな障害は日常茶飯事なんですが
ちょっとやそっとじゃ病気としての症状は出さないんですね。
軽い事件が街で起きても都市機能が麻痺しないのと一緒です。
多少の事件は勝手に解決されます😁
もちろん、簡単に解決できない事件・長く尾を引く事件、
原因が分からず迷宮入りする事件があるように
自然に良くならない障害があります。
そこで我々獣医師は原因を推測し、
適切なところに適切な治療を施して
肝臓を治癒へと導きます✊
すこーし難しい話もあり、例え話で逆にわかりづらくなってないかなと心配です😂
次回はもう少し別のパターンの肝臓病も説明しつつ、
いよいよ治療についてのお話に触れたいと思います!
乞うご期待!