こんにちは!芋沢院の榎原です☀️
今日は雨で芋沢から吉成へ抜ける山道が
通行止めになっていて、
迂回して出勤しました^^;
やっとこさ陸前落合側から芋沢へたどり着くと
通行止めが解除されてて
待ってればよかったなと後悔した榎原です笑
さて今日は、猫伝染性腹膜炎という病気について
考える機会があったので
備忘録的に現在のところの私の見解を書いてみようと思います。
猫伝染性腹膜炎という病気
皆さんは、猫伝染性腹膜炎、通称FIP(エフアイピー)
という病気をご存知でしょうか?
猫を飼っていたり、保護をしたことのある方は
耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この病気は人の新型コロナウイルスと同じ
コロナウイルス属
という分類に属する
猫コロナウイルス(FIPウイルス)が引き起こします。
数年前までは
発症すると100%死亡する治療法のない感染症
と言われていました。
ほんの5年前くらいまでの常識です。
怖いですね。。
どんな子にかかるのか
多くの場合は子猫で発症が見られます。
ですが、中には中高齢での発症も見られます。
そう言う子では、
体内でもともと存在する
無害なコロナウイルスが変異することにより
強力な毒性を獲得して
発症するのではないかと言われています。
品種でいえば、純血種の猫に多いと言われており
ペットショップやブリーダーから引き取ったばかりの
子猫での発症もよく目にします。
どんな病気?
発症すると100%死亡すると
申し上げましたが
具体的な症状としては
食欲不振、元気消失、体重減少、下痢など一般的な感染症症状に加え
・貧血
・高グロブリン蛋白血症/低アルブミン蛋白血症
・体内でのしこり(肉芽腫)や腹水の発生
(真っ黄色などろっとした液体がお腹にたまる)
・眼球内の炎症
・ふらつきなど神経症状
が見られます。
そして最終的には食事が取れず栄養不良となったり、
重度の貧血により死亡します。
治療法について
従来、この病気については様々な治療法が研究・試験・報告されてきました
・ステロイド
・免疫抑制剤や抗真菌薬の大量投与
・インターフェロン療法
などです。
しかしそのどれも、若干の生存期間延長を認めたりはするものの
完治しなかったり、治ったと言う報告も1例だけとか
信頼性が乏しく、期待できるようなものではありませんでした。
なので、これまでは
「治療法はありません。残念ながら、FIPであった場合、100%死亡します。」
と言うほかありませんでした。
見えた光明
しかし近年、このFIPに対する治療薬の治験が世界中で行われ
その中に治療率90%以上と
最初は耳と目を疑うような報告がどんどんと出てきました。
そして今では
人の新型コロナウイルスの治療薬の開発の
後押し?もあり、
国によっては治療薬と治療プロトコルが確立しつつあります。
これらの治療薬がでてきて以降、
日本国でもいくつかの病院が
個人輸入
という形で薬を取り寄せ、治療に取り組み始めています。
もう日本でも、
FIPにかかったら100%死ぬから諦めなさい。
と言わなくてもよくなったのです。
まだある課題
しかし、残念ながらまだ大きな課題があります。
それは、このお薬がまだ
一部の国でしか認可されておらず
研究用の試薬や
サプリメントという名目で販売されている
いわゆるゾロ品 と、認可薬 とが
入り乱れている状態です。
目にする治療成績や治療プロトコルの研究報告も、
使用されている製剤がバラバラなため
自分がどの製剤を使うのかによって引用する文献を考える必要があります。
また、そのような背景から購入自体は違法ではないのですが
法的にグレーゾーンなもの・こともあり、
治療導入を敬遠している獣医師も多くいます。
さらにいうと、
薬自体が非常に高額+安定供給されていないため
まだまだ必ず救える病気
とは言い難いのが現状です。
今自分にできること
現在のところ、治療薬は日本で
安定的に手に入り、みんなが安心して
簡単に使用できる状態にありません。
私は一刻も早い日本での認可薬の誕生と安定した供給・
利用しやすい価格設定がなされることを期待して
いざ治療薬が出た時に
診断がうまくできずに救えませんでした😭
ということがないように
確実な診断をできるよう、情報収集に努めたいと思っています><
そしてもし今FIPを診断したら、、
その猫ちゃんと飼い主様にとって
最善の選択肢を選べるように
最大限のサポートをしたいと思います。
そのための情報収集・準備はバッチリです👍