みなさんこんばんは!
最近流行りのゼロトレ
というものをやってみてます
副院長の榎原です!
さてさて、
今日は以前簡単に書いたつもりが
意外と反響の大きかったワンちゃんの心臓病のお話です。
やはり人でも死因の第2位にくるという事で
皆さんの関心が高いようです。
そもそも心臓病で病院をかかるわんこ自体
全体の4.6%ほどですが
(アニコム 家庭どうぶつ白書2018 参照)
加齢とともにその罹患率は上昇し、
死因としては人と同じように第2位の17%(第1位はガン)
との報告があります。
(アニマル倶楽部 参照)
心臓病の症状は初期はほとんど
他覚症状、自覚症状なく
軽度の運動不耐性(運動を嫌がること)や
運動時の咳くらいしかないと
以前ブログで書いたことがありますが、
重度になると急激に重い疾患となります。
そうなってから慌てても
残念ながら悪化した心臓機能を元に戻すことは難しいです。
最近は手術でかなり機能を回復させることができますが
どこでもだれでも受けれる治療ではありません。
当院で心臓病と診断した場合には、
まず検査をおすすめし、詳細な心臓の状態を
把握することでどの程度進行した心臓病かを調べます。
その上で、今後どのように進行する可能性があるか
予測しながら治療プランを立て、相談を行います。
その際、かなりいろいろなお話をしますが
やはり良く質問に上がるのは
お家ではどんなことに気をつけたらいいですか?
ということです。
今日は、それをご理解していただくために、
心臓病の進行について、解説してみようと思います。
わんちゃんの心臓病で最も罹患率の多いものは
僧帽弁閉鎖不全症
という病気です。
犬の心疾患の、およそ7割から8割はこの疾患であると言われています。
この病気は、
心臓の僧帽弁、と言われる場所が加齢などの原因により変性し
うまく閉じなくなることにより始まります。
僧帽弁は、心臓の左心房から
左心室へと送られる血液が
しっかりと一定方向へと流れるように
逆流を防ぐ役割を果たしています。
*下図参照*
下図)弁の働きのイメージ。
下図)正常な血液の流れのイメージ
もしこの流れに異常が生じると
本来心臓へと流れ込む血液に加え、
逆流してきた血液が左心房に貯まることになります。
*下図参照
その結果、左心房は本来の大きさを超えて
血液を貯めるために、膨らんで行くように変化します。
はじめのうちは左心房も頑張って血液を受け入れ、
本来の方向へと血液を
送り出すことで、均衡は保たれます。
しかし、長期的に、あるいは急速に左心房の
中の血液量が増えると、
十分に血液を排出することができず
ダムのように血液が停滞することになります。
これを、血液のうっ滞=うっ血
といいます。
さらに重症になると、ダムが決壊し
血液は逃げ場を求めて左心房の前の
肺へと貯留し始めます。
下図は上で説明したように、左心房が血液でいっぱいになり、
ためきれなくなったものが肺に溜まってしまう、というイメージです。
*黄色く塗った部分はうっ血のある部分
この状態の肺を
肺水腫
といいます。
肺水腫となった肺はまさに
水に溺れたような状態となるため、
うまく空気を取り込むことができません。
つまり
呼吸困難や酸欠を起こし非常にまずい状態
死へと向かう危険な状態へとなるわけです。
以上が一般的に心臓病と
言われる病気の進行メカニズムです!
もちろん、細かいことを言えば
死亡するほど重度の心不全とは
心臓から全身への血液が送れなくなるほど
心臓が弱ってしまった場合です。
肺水腫発生イコール末期の心不全というわけではない
ことを断っておきます。
まとめます。
弁の変性、機能不全
↓
左心房の拡大 (ここまで無症状が多い)
↓
肺への血液貯留=肺水腫 (ここで咳などの症状を出す)
↓
全身への血液拍出量低下 (いわゆる、心不全)
↓
死亡
ざっくりいうとこういうプロセスを踏むことが多いのが
僧帽弁閉鎖不全症
という病気です。
えっ、症状出てから死亡、早くない?
そうなんです。
症状を出したときにはもうかなり進行している。
これが心臓病の特徴です。
どうでしょうか?
分かりづらかったでしょうか??
今回は小難しい話が長くなってしまったのでこの辺にします><
次回はいよいよ心臓病のときには
おうちでどんなことに気をつければいいか
書いてみたいと思います!