スタッフブログ

2023年10月23日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

子犬時期の予防についてーその3(避妊去勢)

こんにちは!芋沢院の榎原です^^

 

今日も芋沢院には可愛い子猫と

子犬さんが来てました☺️

 

初めてのワクチンや手術を前にみんな

ドキドキした様子ですね!

それでも遊んでほしくてはしゃぐわんちゃんも

いたりで可愛いです!

 

さてさて、

前回まで2回にわたりお話しした事が、一般的に

「予防」と呼ばれることだと思います。

予防接種+予防薬

です。

しかし、これらをちゃんとやっていても

残念ながら全ての病気や感染症を

予防することはできません😫

 

次回は病気ゼロ!のためにできる

さらに一歩すすんだ「予防」

その一つ目として、去勢・避妊手術

についてお話ししていきたいと思います!

 


不妊手術とは

女の子に対して実施する避妊手術

男の子に対して実施する去勢手術

まとめて不妊手術

と言います。

 

赤ちゃんを作る機能を無くしてしまう

という手術ですね。

こう書くと少しひどい感じがしますね。。。

 

なぜこれが予防になるの?

と思われてしまいそうです。

 

不妊手術の目的

そもそも人間を含め生き物は

「子孫を残すため」

に繁栄しています。よね?

しかし、こと愛玩動物(ペット)に

関しては

「人と一緒に過ごす事」

が目的になっていますので

言ってしまえば生殖機能は

使わない子が多いわけです🙀

 

しかし、使わなくても生殖のためのホルモンは

出続けるわけなので

活動する以上なにかしらのトラブルが発生します。

そしてその結果として

・子宮や卵巣や乳腺、精巣の腫瘍

・ホルモン活動による脱毛や筋肉の変化

・心筋症や糖尿病などの疾患

など場合によっては命に関わる

疾患を引き起こします。

こうなると

愛玩動物の目的である

「人と一緒に過ごす事」

が長くはできなくなってしまうので

命を落とす病気にさせない=寿命延長のために

不妊手術が推奨されるようになってきました。

ちなみにウサギでは避妊手術が行われるようになってから
それまでの平均寿命が5〜7歳と言われていたのに対し
10〜12歳ほどと明らかな寿命延長がみられました。

 

ですがもちろん、

子供を作らせてあげたい!

ずっとこの子の命をつなぎたい!

という気持ちで最初から飼われている場合は

早期に不妊手術をする必要はないと思います。

不妊手術をしないでも、健康寿命を伸ばす

他の予防をしっかり取り組んでいけば良いのです。

 

不妊手術のメリット・デメリット

不妊手術により確実に発生が少なくなる、

あるいは発生しなくなる病気として

・卵巣・子宮・精巣の腫瘍

・乳腺の腫瘍

・子宮蓄膿症などの子宮疾患

が挙げられます。

 

反対に、避妊手術をすることによって

発生が多くなる疾患として

・肥満(全ての犬猫)

・一時的な尿失禁(全ての犬猫、時々ある)

・一時的な脱毛(全ての犬猫、まれ)

・関節疾患(特定の犬種)

・ある種の腫瘍(特定の犬種)

が挙げられます。

 

これについて、2020年に出された

カリフォルニア大学から出た論文で、

犬種ごとの避妊手術の時期と

病気の発生率の変化を調べた大規模な報告がありました。

Assisting Decision-Making on Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs: Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence

この結果を受けて、現在は犬種ごとに

適切な避妊手術時期の検討、

そもそもやるべきかどうかの議論も行われています。

例えば、ゴールデンレトリーバーでは

避妊手術を推奨しない。

なんていう意見もでています😲

少し話が難しくなりました。。

話を戻します。

 

 

不妊手術の時期について

不妊手術は、当院では生後5ヶ月後以降を目安に

行えることとしています。

女の子では初回発情の前

男の子ではマーキングが習慣化する前

がひとつの目安です💡

 

ただし、先ほどの小難しい話で言った通り(笑)

犬種によっては急いで手術すべきでなかったり

乳歯の生え変わりの状況により時期を遅らせたりもします。

なので本当のところ適切時期に関しては

生後6ヶ月ごろに一度獣医師の診察を受けて相談することが

良いと思います!

 

不妊手術のやり方

・男の子

精巣の少し上の皮膚を切り、

その穴から左右の精巣を引っ張り出し

血管と精管(精子の通る管)

を結び、切り離します。

 

・女の子

ヘソの少し尻尾側の皮膚を1.5cm前後切り、

腹筋を切り開けて

その穴から左右の卵巣を引っ張り出して

血管と卵管(卵子の通る管)を

結び、卵巣のみ取り出します。

 

術後の様子

男の子は手術当日女の子は翌日に退院が可能です。

痛みが強い子は2〜3日食欲の低下や活動性の低下

がみられますが、特に男の子は翌日から

元気いっぱいいつも通りのことが多いです。

帰宅後は、最初の食事だけ吐いてしまったり

誤嚥しないよう気を付けていただき、

手術した部分を舐めたりしないように

カラーもしくは術後服を装着するだけで、

1週間後の再診まで普段通りの生活が可能です。

お薬や傷の消毒は必要ありません。

 

不妊をした後の注意

ちょっと前にご説明した通り、

術後は絶対に肥満の傾向が強くなります。

そのため、成長期を終えていれば

過剰なカロリーの摂取を抑え、体型を適切に保つよう

食事運動管理を行う必要があります!

多くのメーカーから

避妊去勢後用の食事が製造・販売されていますので

そちらを利用するようにしましょう。

 

まとめ

今回は少し小難しくなってしまいました><

簡単なまとめとしては

・不妊手術は生殖器に関わる病気を防ぎ健康寿命を伸ばすためにやる

・犬種や家族の気持ちを考えれば、必ず不妊しなきゃダメなわけじゃない

・不妊をすると絶対に太りやすくなるので気を付ける!

ということになります!

 

多くの方が初めて経験する愛犬の手術になりますので

ご不安や疑問は持って当たり前です。

わからないことは是非獣医師にお尋ねください!

きっと明確な答えをくれるはずです笑

 


さて次回は

毎年の予防もやってる、不妊もした(やらないと決めた)、

あとはなにをすればいいんじゃ〜!

という方に向けたお話をしていきたいと思います😁

 

ウダウダと長いお話になっていますが

ここまで読んでくださっている方は

どうぞそのままお付き合いください笑

 

©森のいぬねこ病院