スタッフブログ

2023年11月16日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

妊婦とトキソプラズマ

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

 

寒い季節ですが最近子猫を保護した、

捕まえたと言っていらっしゃる方が

多いですね🤔

春の繁殖期で生まれた子供が巣立ってまた繁殖しているという

ことでしょう😅

 

さて、そんな折、

保護したはいいものの、自宅に

妊婦さんがいらっしゃり、

トキソプラズマなどがとても心配なので

どうしたらよいか?という相談を受けました。

 

とても心配ですよね。

 

正しい知識をお伝えするために、私もこれを気にしっかりと確認して

安心できるようにお伝えしました。

その備忘録としてブログにも書こうと思います^^


トキソプラズマ症って?

猫の腸管内(時に全身)に寄生するコクシジウムという分類に属する

寄生虫:トキソプラズマ

に感染することによって起こる病気です。

猫はこの寄生虫の本来の宿主(終宿主)であり、

寄生することで寄生虫は体内(腸内)で産卵します。

 

 

猫での病害はこの産卵によって起こる腸の炎症や下痢

程度の軽度なものが多いですが

人に感染すると中間宿主と言って、

寄生虫は産卵はしないのですが

強い病害を引き起こすことがあります。

症状としては無症状から重度なものまでありますが、

最も恐ろしいものでは

免疫不全者においては脳炎、脈絡網膜炎、肺炎などの全身症状

・妊婦が感染すると胎児へと感染する。
結果、先天性トキソプラズマ症(水頭症など重度なものから死流産、遅発性の目の疾患など様々)

子供に発生する

 

が挙げられます。

 

つまり、トキソプラズマ症とは、妊婦さんや免疫力の落ちた方がかかると

命に関わる重大な病気である。ということが言いたいのです。

 

どうやってかかるのか

感染のほとんどのケースは、

加熱不十分な鶏肉や豚肉を食べることで

その豚肉内の幼虫を摂食し感染が起こります。

そしてそのほかの感染経路として、

猫の糞便に含まれるオーシスト

という虫卵に汚染された食べ物を食べることが挙げられます。

 

また、その猫はどうやって感染するかと言うと、

同じように感染した猫の虫卵に汚染された食べ物を食べるか

野生動物や虫を狩って食べたときに感染します。

ゴキ●リで感染することもあるそうです😱

 

まとめると、

①汚染した肉を不十分な焼き方で食べること

②感染猫のうんちで汚染した食べ物を食べること

 

が妊婦さんの主な感染経路になります。

 

感染を防ぐためには!?

結論から言ってしまえば簡単なことで

・お肉はよく焼いてから食べる。

・感染の恐れのある猫に近づかない

これだけです。

 

しかし、お肉は自分が気をつければいいですが

猫ちゃんを飼っていたり、野良猫が近くにいる環境にいる人は

もしかしたら。。という気持ちが拭えず心配ですよね。。

 

そう言う時は周りの人もしっかり協力し、

・猫さんのトイレを掃除する時は24時間以内に。

 かつしっかりとうんちで汚れたところを取り除く

・掃除した後はしっかりと手洗いする

・汚染した恐れのあるものは熱湯消毒!できるだけ捨てる。

と言うことを徹底する必要があります。

妊婦さんや免疫不全者がトイレ掃除をすることがないようにしましょう。

 

猫ちゃんがトキソプラズマに感染しているかどうか知るには?

これまでお医者さんチックな話でしたが、

ここからはちゃんと獣医さんぽい話です笑

 

今現在、感染している恐れがあるかどうかを調べるには

3通りの検査方法があります。

①糞便中に排泄された虫卵を見つける

②糞便中からトキソプラズマの遺伝子を見つける

③体内のトキソプラズマに対する抗体を調べる

 

それぞれ検査の特徴や検出できる期間が異なるため、

どの検査を行うかには注意が必要です。

①糞便中の虫卵を見つける

これが見つかれば手っ取り早いです。もうこの子は感染しています。

この虫卵(オーシスト)排泄している期間は感染後10日から14日間なので、

その間、妊婦さんは十分に注意しましょう。

逆に言えばその期間を過ぎれば感染源にはなりません。

また、猫ちゃんの体調不良(下痢や肺炎症状、神経症状)が出ないか注意深く観察し、

内服による治療を開始します。

メリット)

検査費用が安い。

デメリット)

人がやる検査ですので、一回の検査で見つけられないこともある

感染直後(3日以内)や感染から14日以上経つと見つからない。

 

②糞便から、トキソプラズマの遺伝子を検出

これで見つかってくれば、

オーシストが見つかっていなくても感染が確定できます。

先ほど述べたことと同様に、妊婦さんは接触を避け、

猫ちゃんの治療を開始しましょう。

メリット)

感染があれば検出感度が高い。

デメリット)

検査費用がやや高い。

結果が出るまでに1〜4日必要とする。

 

③トキソプラズマに対する抗体を調べる。

こちらは、過去に感染があったことを調べる検査です。

感染してから、抗体が作られるまでは2〜3週間かかります。

体内から抗体が検出されれば、その猫ちゃんはもう

トキソプラズマの感染期間と虫卵の排泄期間を終え、免疫がついています

再度感染が起こらなければオーシストの排泄をする事はないはずです。

心配であれば遺伝子検査や糞便検査も受けましょう

 

この検査を行って陽性と判定されれば

基本的にその猫ちゃんとの接触は安全と考えられます。

しかし逆に、陰性であった場合は、まだ感染していないか

感染初期なのかを区別する事はできないため、注意が必要です。

メリット)

陽性であればある程度安心できる。

デメリット)

確実に安心するにはほかの検査と組み合わせる必要がある。

検査結果が出るまでにけっこう時間がかかる(4〜9日)

 

以上の検査方法の良い点と悪い点を理解し、

どの検査をすべきか、あるいはしないかを考えると良いでしょう。

 

まとめ

・トキソプラズマ症は、人(特に妊婦や免疫不全者)に感染すると

強い病害を引き起こす疾患。

・汚染された豚肉や鶏肉、感染猫の糞便中の虫卵の摂取で感染する

・肉類はよ〜〜〜く焼いて食べましょう

・妊娠・ご病気がわかったら念のため猫ちゃんのお世話はご家族に任せましょう

ずっと室内飼育の猫ちゃんはほぼ安全と思って大丈夫

・心配であれば抗体・遺伝子検査を受けてもいいかもしれません。

・感染猫だとわかったら汚染物は熱湯消毒!!


いかがでしたでしょうか?

気をつけていれば猫にも人にもそうそうかかるものではないですので

過剰に猫を避けたりすることがないように

正しい知識が広まればと思います☺️

 

 

 

 

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