スタッフブログ

2023年11月26日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

副腎の病気①クッシング症候群

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

サムネはお膝で寝てしまったホテル中のスタッフわんこミニーちゃん。

甘えんぼで可愛いです☺️

 

今日は手術が2件ありました💉

お昼休みに手術するので、

午後の診察に遅れないように

素早く準備・手術・片付け・準備・手術・片付けと

進めていきます。

 

芋沢院の本格再開から8ヶ月ほどですが、

このスピード感でやれるのは

良いチームワークができているおかげですね☺️

手術は無事、終了しました✌️

 

さて今日は副腎の病気編①です!


クッシング症候群

この病気の名前を聞いたことは

非常に多いのではないでしょうか?

結構有名な病気ですし、

遭遇する割合も多いので

知られています。

 

どう言う病気か?

クッシング症候群というのは

副腎から分泌されるホルモンのうち、

「糖質ステロイドホルモン」

特に、

「コルチゾール」

という名前のホルモンが過剰に分泌される

ことにより、

体内で様々な変化が起こる病気です。

 

ホルモンの影響が全身あちこちに起こるため、

症状が多様であることから

”症候群”

という名前になっているんですね。

 

どんな症状をだすの?

クッシング症候群において認められる症状は

ACVIMという学会で2012年に以下のようにまとめられました。

有名なものは多飲多尿腹部の膨満感でしょう。

 

原因は?

副腎のステロイドホルモンを分泌させるには、

脳にある下垂体

という部位から出る

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

が必要です。

犬のクッシング症候群のほとんどが、

このホルモンを分泌する下垂体の問題(腫瘍や過形成)

が原因となり、発症します。

こう言ったメカニズムで起こるクッシング症候群を

下垂体性クッシング(PHD)

と言います。

 

また、割合は少ないですが、副腎そのものが腫瘍化し、

ステロイドホルモンを過剰分泌するものも

あります。

こちらのクッシングは副腎腫瘍によるもので

機能性副腎腫瘍(AT)

と呼ばれます。

 

また、最近はステロイドが濫用されるケースが

減ったのであまり見ませんが

医原性クッシング

と言って、

ステロイドの内服薬の過剰投与によっても

クッシング症状が起こります。

 

 

診断法は?

クッシング症候群の診断の第一歩目は

疑うことです。

多飲や多尿・多食・脱毛といった

特徴的な臨床症状を認め、

血液検査などでステロイド過剰による変化が認められれば、

精査へと進みます。

 

院内でできる精査としては、

腹部超音波検査による

副腎の大きさチェックがあります。

こちらで

両側の副腎の腫大が認められればPDH

片方の副腎が過剰に腫大していればAT

の疑いとなります。

 

しかし副腎が大きいというだけでは、

クッシング症候群の診断とすることはできません

クッシング症候群の診断には、

ホルモンの過剰分泌を捉えることが

必須になります。

 

確定診断法

このホルモンの過剰分泌を測定する検査としては

ACTH刺激試験

が有名です。

本来下垂体から分泌される、

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

を、注射により投与し

刺激によって放出されたステロイドの量を測定する

という検査です。

こちらで診断可能なレベルの上昇が見られて、

ようやく診断となります。

 

しかしクッシング症候群なのかどうか、

PDHなのかATなのか診断が難しいケースも多々あり、

その場合には

低用量デキサメサゾン抑制試験

高用量デキサメサゾン抑制試験

といった追加試験を行うことがあります。

 

これらの検査法のメリットやデメリットなどについては割愛します><

 

これらの検査により、

下垂体か原因のクッシングなのか、

はたまた副腎の腫瘍によるクッシングなのかが確定したら、

治療を検討します。

 

治療の検討、、その前に

治療を決めるには、

診断がついただけでは足りないのが

クッシング症候群の嫌なところです。。。

本当にね😅

下垂体性クッシング(PDH)

だと診断された場合には、治療の前に

脳の下垂体をチェックするための

MRI検査

が推奨されます。

 

副腎腫瘍(AT)によるクッシング症候群

と診断された場合には

副腎腫瘍の大きさや転移チェックのために

腹部CT検査

が推奨されます。

 

それぞれ適切な治療法をよりリスクを下げて選択するために

重要な検査となりますので

高額な検査で麻酔が必要となりますが

状況が許せば受けるべきでしょう🤔

 

治療は?

ここまでしっかりと診断がついたらようやく治療に移ります。

下垂体性クッシングの場合には、

MRI検査の結果で治療法が分かれます。

また新しい用語が出てしまいますが、MRIにより下垂体の大きさをチェックして、
大きいか小さいかにより以下の診断名がつきます。

下垂体巨大腺腫

と診断されれば治療法は

①手術による下垂体の除去、

もしくは

②放射線療法とステロイドホルモンを抑制する内科療法の併用

が選択されます。

 

下垂体微小腺腫

と診断されれば

内服薬によりステロイドホルモンの分泌を抑制する内科療法

が適応となります。

 

副腎腫瘍の場合には

①第一選択は外科的な摘出

となりますが、

高齢やすでに転移しているなど、手術が困難な場合には、

②内科療法によるステロイドホルモンの抑制

を行います。

 

まとめ

・クッシング症候群は、ステロイドホルモンの過剰分泌による病気

・ステロイドホルモン過剰による症状がたくさん起こる。

脳の下垂体が原因のクッシング症候群と、副腎腫瘍によるクッシング症候群がある

・症状があり、院内でできる検査で疑いが強ければ精密検査へ

・診断はACTH刺激試験デキサメサゾン抑制試験で決定

・治療法の決定にはMRICTをした方がより好ましい!

・治療は手術放射線治療内服の中から適切で現実的にできるものを選択。


 

以上です〜

非常に難しい内容となってしまいました!!

少しでも伝わるように

重要なポイントを書いたつもりです><

ご参考になれば幸いです☺️

©森のいぬねこ病院