スタッフブログ

2023年11月23日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

便秘?

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

 

タイヤ交換する前に雪が降らないか毎日ヒヤヒヤの

榎原ですが

来週の金曜日に雪マークが出ていて絶望しています。

 

車がミニバンなので、普通車なら自分出てきますが

今は自分でするのは怖いんですよね😅

 

さて本日は、便秘について

お話ししようと思います。

意外と正しい認識がないのでは?と思います。

人によっては、3日くらい出ないのは普通じゃないの?

と言ったり

1日排泄がないだけでも心配される方もいます。

(状況にもよりますが。。

 

なので便秘の基準と、病院で対処すべきポイントを解説したいと思います!

 


便秘症

ちなみに人では、どのくらいウンチが出ないと

便秘症

と判断されるのでしょう?

いくつかWEBサイトを検索してみましたが

明確な基準はないようです😅

 

多い意見として、3日以上排便がない場合

という目安がありました。

また、症状の有無(硬すぎて出ない、肛門が切れる。など)

も便秘症として診断するかどうかの

基準にするという意見もあるようです🤔

 

犬や猫では?

こちらでも、調べてはみたものの

明確な基準はありませんでした。

しかし人と同様に、3日以上

排便がない場合は便秘と考えてよさそうです!

 

また、

健康な状態とは1日1回から3回の排便が

あり、便の状態が硬すぎず適度に水分を含む

という状態ですので

それと比較して

排便回数が少ない状態が続いている

徐々に排泄量が減っている

固いうんちで毎回踏ん張っている

などの違和感があれば

便秘の傾向があると捉えた方が良いでしょう。

 

ちなみに便秘は犬でも猫でもありますが

どちらかといえば猫で多い疾患です。

 

大丈夫な場合とそうじゃない場合?

例えば、排便がない=便秘

と言われればそうではありません。

 

端的に、以下の場合は排泄量が低下することは自然と

考えられますので、急いで便秘の対処をする必要はないでしょう。

①前日に絶食した(嘔吐や手術の準備のため)

②下痢を出しきった後の最初の排泄

③いつもと違う環境にいる(ホテル宿泊など)

以上のような場合は、一過性に排便が停止しますので

1日程度うんちが出なくても問題ありません

 

④吸収がよく、便量が少なくなるようなバランスの食事を食べている

⑤食事量が低下している(高齢など)

以上のような場合は、判断に迷いますが

体重の大きな減少が短期間で起きてなければ

慌てなくて良いでしょう。

ただし、高齢だからと言って

食事量がどんどん減っている場合は

便秘以外の病気が潜んでいたりするケースがありますので

注意が必要です。

 

問題がある便秘

以下のような場合で、排便がないのであれば病院で

相談をしましょう。

・3〜4日に1回の排便が続いている。

・食べムラが多く、排便が2日に1回あるいはそれよりも間隔が長い

・嘔吐や食欲不振があり、排便時にいきむ様子が強い。

・うんちがカチカチで少ない

・異物を食べた可能性があり、うんちが出ていない

 

 

便秘の初期であれば判断が難しいかもしれませんが、

急にこのような変化が見られた場合は要注意です。

また、急激な変化でなければ

結構前からそうだけど、元気だから大丈夫じゃない?

と思ってしまうかもしれません。

しかし、便秘もどんどん重症化する恐れがありますので

当てはまる方は一度相談をした方が良いと思います。

 

便秘への対処

まずは便秘の原因が何かを見極めます

よくある原因としては

・慢性腎不全

・異物による閉塞(急激な便秘の場合)

・腫瘍による肛門周囲の狭窄

・会陰ヘルニア

・椎間板ヘルニアなどの麻痺を起こす疾患

・甲状腺機能低下症など筋力低下を起こす疾患

・肥満

・食事の問題

・巨大結腸症(神経障害、慢性便秘の結果として)

などが挙げられます。

 

ヘルニアや、腫瘍、慢性腎不全など

特別な治療を要する病気が見つかればまずはそちらの管理を行います。

 

特別な疾患がなく、

肥満や食事の問題があればそちらの対策を行います

多くの場合、軽度であれば

現在食べている食事を変更し

可溶性繊維をよく含む食事へと

変えることで排便が安定します。

↑便秘の療法食

 

治療が困難な場合

腫瘍や、他の疾患がある場合も大変ではありますが、、

それらがない場合でも大変なケースがあります。

 

シンプルに原因となる疾患がはっきりせず、

便秘がなかなか改善しないという意味です。

 

例えば神経障害による巨大結腸症という状態があったり

慢性的な便秘によりかなり頑固な便秘になっている場合は

食事の変更だけではうまくいきません。

 

具体的な治療法について

便秘が重度であればまず点滴により脱水を直し

無理のない範囲で浣腸を行い便をかき出し、

内服により治療を行う必要があります。

 

内服薬では様々なタイプの下剤を使用します。

そのうち、有名なものと使用しているものを

いくつかをご紹介します。

①酸化マグネシウム

非刺激性下剤・浸透圧性下剤という分類の下剤です。

人では大抵の第一選択で、よく出されます。

腸管に入ることで浸透圧という作用で大腸から水分を引っ張ってきて

糞便をふやかします。

脱水をしている場合には大腸の脱水を助長する可能性があり

注意が必要です。

また、成分の一部は吸収され腎臓で代謝されるため、

慢性腎不全などが多い猫には使用し辛いです。

そのほか高マグネシウムなども副作用としてあり、

長期服用はしづらいとされています。

 

②ラクツロース

酸化マグネシウムと同じく浸透圧性下剤ですが

こちらは糖類を使用しています。

酸化マグネシウムにくらべ副作用は少ないですが、

同様に脱水に注意が必要です。

また、糖類を使用していますのでベタつきが気になったり、

便秘が改善するように量を増やすと結構投薬がしづらかったり

逆に下痢となるケース、脱水腎臓障害が起こることもあります。

糖尿病患者にも注意が必要

 

③ピスコルフォートナトリウム

刺激性下剤という分類の下剤です。

腸管の運動を促進させ、水分の吸収を妨げることで

排泄を促します。

長期使用により腸炎を引き起こす恐れがあります。

使ったことはないですが、

腹部の不快感が出るので猫には不向きかと。。

 

④流動パラフィン

ミネラルオイル・鉱物油とも呼ばれるものです。

ウサギの毛球症予防なんかでも使われたりします。

体に吸収されない種類の油を摂取することで

便をコーティングし、出しやすくする

潤滑剤の役割を果たします。

便自体を柔らかくしないため、効果が弱めですが

副作用も少ないです。

 

⑤モビコール(ポリエチレングリコール)

浸透圧性下剤の仲間ですが、

成分にマグネシウムを含まず、

主成分は体内にほとんど吸収されないため

酸化マグネシウムで問題となる

副作用がクリアされています。。

脱水のある動物への過剰投与はもちろん危険と思われますが

腎不全のある猫ちゃんにおいても

数値の悪化を引き起こさず良好な

効果を認めた報告があり、

使用しやすいお薬です。

安全性が高いため、

人の小児科でも第一選択になりつつあるようです。

 

 

このうち、私は使用した経験のあるものは

②、④、⑤です。

最近では⑤のモビコールをよく使用し、

良好な反応が見られています。

 

下剤で治らない便秘

中には下剤を使っても治らない便秘、繰り返す便秘

があります。

その場合には外科的な選択肢が取られるケースもあります。

私の目安としては

いかなる治療を行っても3ヶ月で改善が見られないケース

は手術として

結腸の摘出術を行い、

大腸の長さを短縮することで排便時間を短くすることを

行っています。

しかし、合併症(下痢や便失禁、再発)が起こり得ますので

できるだけ内服で管理したいと考えています><

 

まとめ

・便が3日以上でないなら便秘の可能性大!

食欲の低下や嘔吐、排便時のがあるなら問題!

・治療は基礎疾患の治療食事の変更、ダメなら下剤

・それでも治らない便秘は手術も検討!

 

 


いかがでしたでしょうか?

少し治療に関してはややこしい内容となるので

ごく簡単なご紹介にとどめました。

 

大事なことは、便秘を放置せず、ちゃんと問題だと疑うことですね><

 

 

©森のいぬねこ病院