こんにちは!芋沢院の榎原です☀️
皆さんはマラセチア性皮膚炎ってご存知ですか?
あるいは、ご自分のわんちゃんがマラセチア性皮膚炎だよ。
と診断されたことはありますか?
この診断名、実は要注意です!!
マラセチアとは?
マラセチアとは、真菌(カビ)の一種です。
雪だるまの様な形をしています。
カビというと、食べ物が腐ったときに発生するものだとか
お風呂のカビとか、水虫を想像されるかもしれませんが
マラセチアは犬にも人にも存在する、常在菌の一部なんです
そしてマラセチア性皮膚炎とは、
このマラセチア真菌の過剰な増殖を特徴とする皮膚炎です。
独特な匂いを発することと、ベタベタした油の様な肌質を示し、
痒みが強いことが特徴です。
非常にわかりやすい病気ですね😅
しかしこのわかりやすさゆえに、問題が起こっています。
マラセチア性皮膚炎、過剰治療問題!?
マラセチアはカビの一種なので、
マラセチアを退治するには抗真菌薬を使用するのが一般的です。
代表的なものとしては、マラセブやマラセキュアといった
抗菌シャンプーが挙げられます。
内服ではイトラコナゾールというものがよく使用されます。
しかし、
マラセチアがいた!
=マラセチア性皮膚炎だ!
=抗真菌薬をガンガン使って治そう!
そういう短絡的治療は、NGです😂
なぜなら、多くの場合
マラセチアの増殖は結果であって、根本的な問題ではありません。
マラセチアにばかり目を向けて、一生懸命退治しても治らないんです
ではどう直すか?
根本的な問題をきちんと探して、アプローチしましょう。
根本的な原因は多岐に渡るため、ここでは一つ、
症例を紹介しましょう。
写真があると説得力が増したのですが、撮ってなかったのでお話だけ😭
<1年前からマラセチア性皮膚炎と言われて、
抗真菌薬・抗生剤・ステロイドの内服と、
抗菌シャンプーを使用していた犬の例>
タイトルが長いのはおいておきましょ😅
他院での治療でよくならず、数ヶ月前、当院を受診された子です。
1年ほど前からマラセチア性皮膚炎や膿皮症と言われ、
悪くなるたびに抗生剤や抗真菌薬などのお薬を出されるが
一向に良くならないのでこのままでいいのかと、心配でいらっしゃいました🤔
こういった例は、よくありますが
私が行った治療はこうです↓
・現在使用している内服を全てやめて、漢方(人参養栄湯)のみ処方。
・食事・シャンプーを変更(シャンプーは低刺激性シャンプー、フードはスマイリー)
これだけで1ヶ月後には改善しました😅
炎症や痒みは見られなくなり、マラセチアの匂いもなくなりました。
現在も経過を見ているところですが、シャンプーの頻度を調節したり漢方をやめたりして
良好な状態を維持しています✌️
この子はおそらく食事が合っておらず、皮膚のバリア機能が損なわれ、
皮膚のマラセチアが過剰に増殖してしまっていました。
こういうケースで、抗真菌薬や抗菌シャンプーは、
完全に過剰で無意味な治療となります。。。
ちなみに、
漢方は皮膚の栄養を充足させ、バリア機能を高めるために使用しました。
体が冷えているという体質でしたので、温める処方です。
再生後は逆に体の火照り・痒みなどが見られる様になったため、中止する方向ですが
目に見えて効果が出るのが面白いですね😲
飼い主様も、ずっと暖かいところを求めていたのが
最近はだっこしてるとポカポカすると驚いていました!
今回の記事は、
抗生剤が悪いわけではないですが、漫然とした使用はやめましょう!
という例でした😅
どなたかの参考になれば幸いです♪