2017年11月15日  

愛犬のくしゃみやかゆみの原因は?暑い季節のお悩みを獣医師が解説

こんにちは!!

今回は『犬の症状Q&A』についてお伝えします。
本記事は、過去に私が寄稿したものを許可を得て転載しています。
無断での引用、転載は禁止しておりますので、ご了承ください。


毎年、夏の時期になるとくしゃみをする犬や、皮膚のコンディションが悪くなる犬がいます。涼しくなると落ち着くこともあるため、つい様子を見てしまいがちです。しかし中には、くしゃみやかゆみが厄介な病気のサインであることも。また、良かれと思って実施しているシャンプーなどのスキンケアが、逆に皮膚にダメージを与えていることもあります。

そこで今回は、特に暑い時期に飼い主の方からいただく質問に関して、私の回答も含めてご紹介したいと思います

Q. くしゃみを引き起こす病気にはどんなものがありますか?

Website banner of a happy Irish Setter dog as smelling flowers

A. くしゃみの時期や、他に見られる症状などによって違います。

くしゃみを引き起こす病気には、鼻腔に炎症を引き起こすアレルギーや感染症、あるいは腫瘍(がん)などがあります。これらの病気では、段々とくしゃみがひどくなったり、緑や黄色の膿が混ざった鼻水、鼻血がみられることが多いのですが、病気の初期段階では、ただの軽いくしゃみしか見られないことがあるため注意が必要です。もし、気になるようでしたら、気づいた段階で動物病院に相談しましょう。

また、くしゃみを起こす病気で、犬に特徴的な原因として「異物」があります。中でも植物関係の異物混入が多く、お散歩中に植物の匂いを嗅いだ時に草などが鼻の奥にまで入り込んでしまい、それが取れなくなるとくしゃみをするようになります。

特に芒(のぎ)などのイネ科植物による異物混入が多くみられ、中には重度の炎症を起こしてしまうことも。梅雨から秋口までの暑い時期、イネ科植物が多くみられる時期には特に注意しましょう。

Q. うちの犬が時々くしゃみをするのですが、様子を見ていても大丈夫でしょうか?

A. 鼻水や鼻血を伴うくしゃみ、徐々に悪化するくしゃみ、腫れが見られる場合は注意が必要です。

犬は、お散歩中に何かの匂いを嗅いで、その刺激でくしゃみをしたり、温度差が大きいときなどにくしゃみをします。また、犬は仰向けになることで、くしゃみをすることもあります(レントゲン検査や超音波検査などで仰向けになる際にくしゃみをする犬がいます)。これらの場合は、問題ないでしょう。

しかし、鼻水や鼻血を伴うくしゃみ、あるいは最初は軽いくしゃみが段々とひどくなる場合、鼻の腫れを伴うくしゃみ、季節的に悪化するくしゃみなどは注意が必要です。これらの症状が見られた場合には、先ほどご紹介したような病気の可能性もあります。必ず動物病院を受診してください。

Q. 暑い時期になると体をかゆがったり、体臭が強くなるのですが、どうすれば改善できますか?

A. 角質をコントロールする必要があります。

暑い時期に皮膚がかゆくなる、臭いがきつくなるのは、ほとんどの原因が角質の異常によるものです。角質は主に脂質、つまり「あぶら」でできた、皮膚のバリア機能を司る重要な組織です。しかしその角質に異常が生じると、簡単に感染や炎症を引き起こしたり、脂質のクオリティや角質の産生量が変化することで、かゆみや臭いの原因になります。なので、暑い時期のかゆみや体臭は、角質をコントロールすることで、改善させることができます。

改善のためには、まず角質異常の元となる病気を正しく診断します。特に多く見られる病気は、脂漏症とアレルギー性皮膚炎です。中には膿皮症(のうひしょう)と言って、細菌感染が原因となることもありますが、細菌感染のほとんどが脂漏症やアレルギー性皮膚炎を隠し持っています。これらの病気を診断してもらうことが重要です。

また、皮膚病の中には疥癬(かいせん:ヒゼンダニが体表に寄生する感染症)など、全く別の病気にかかっていることもあります。万が一、それに気づかず、アレルギーの治療をしてしまうと、逆にかゆみを悪化させてしまうこともありますので、注意が必要です。

最近では動物の皮膚病を専門にした獣医師も多くなりました。かかりつけの病院でなかなか皮膚のコントロールが難しい場合には、一度、皮膚の専門医を受診してみるのも良いでしょう。

Q. かゆがったりしている犬に対して、お家でできることはありますか?

A. 食事やスキンケアなどの管理が大切です。

Dog food in bowls on wooden table

暑い時期のかゆみの原因として、よく見られる脂漏症やアレルギー性皮膚炎は、お薬だけでなく、食事やスキンケアといったご自宅での管理が、動物病院での治療と同じくらい非常に重要になります。

【食事管理について】

アレルギーを持っている場合は、アレルギー検査の結果に基づき、特定の原材料を用いた食事に切り替えます。また、中には手作りの食事で管理するケースもありますが、その場合には、皮膚にとって重要な栄養バランスが崩れることがありますので、サプリメントで補ったり、ドッグフードを併用しながら管理します。

脂漏症の場合では、食事のバランス、特に脂質のバランスを整えることで、皮膚の状態がある程度改善することがあります。特に近年ではオメガ3やオメガ6と呼ばれる不飽和脂肪酸を摂取することによって、かゆみが改善するケースが多数報告されています。また、亜鉛やビタミンAなどの栄養素によって角質をコントロールすることで、皮膚状態が良くなるケースもあります。

ただ食事の管理は、一歩間違えると逆に皮膚を悪化させることもありますので、必ず動物病院に相談しながら実施するようにしてください。中には飼い主の方の独断で、サプリメントを使用されることもあると思います。しかし残念ながら、まだまだ動物のサプリメントにはクオリティの低いものやその効果を疑問視せざるを得ないものも多いため、使用にあたってはよく注意するようにしてください。

Wet terrier crossbreed dog in bathtub with soap suds all over head and an unhappy expression

 【スキンケアについて】

皮膚のかゆみや臭いに対しては、シャンプーを中心としたスキンケアを行うことで、即効性のある改善が見込まれます。しかし、皮膚のコンディションによって、シャンプーの種類や使用方法が異なりますので、正しいスキンケアを実施するようにしましょう。

まず、動物病院で処方される薬用シャンプーですが、ベタベタをしっかり落とすタイプ、細菌やカビなどの感染を抑えるタイプ、カサカサ肌を改善させるタイプなど、薬用といっても様々な種類があります。また、薬用シャンプーの成分の中には、作用の強いものもありますので、その時々の皮膚の状態に合わせたシャンプーを選ぶことが重要です。まずは使用方法や使用期間など、動物病院での指導を必ず受けるようにしてください

また、ご自身でシャンプーをするときも、ベタベタをしっかり落としたいからといって、強くゴシゴシと洗うと、それが原因で皮膚炎を起こしたり、あるいはさらに角質異常となってベタベタが増すこともあります。基本的には、脂漏症のようなベタベタ肌の犬でも、低刺激のシャンプーで優しく洗うことをお勧めします。

 まとめ

くしゃみもかゆみも一時的なもので、自然に治癒するものもあれば、放っておくとどんどんと悪化してしまうものもあります。どちらの症状も「ちょっと変だな」と感じたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

また、皮膚のコンディションを整えるためには、病院の治療だけでなく、食事管理やシャンプーなどのスキンケアなど、ご自宅での管理がとても重要です。特にアレルギーなどの完治が難しい病気ほど、ご自宅で取り組んでいただくことが大切になります。

暑い季節は犬もコンディションを落としやすい時期です。ぜひ健康の維持、そして病気の早期発見に努めてあげてください。

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