スタッフブログ

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

病院にいくべき症状⑤てんかん

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

 

先日手術をした子がとても元気になってきていて

嬉しい今日この頃です😊

 

時間かけて丁寧にやった甲斐があるというものですね笑

 

さて、ほんじつはしばらくぶりのシリーズで、

病院に行くべき症状⑤

てんかん

についてご紹介したいと思います^^

 

いきなり遭遇するとびっくりする症状ですので

いざ!と言う時に慌てずにいられるよう、

またてんかんが起こり慌てている方がこの記事を見て参考に

なりますよう、

考えて書いていきたいと思います!

 


てんかんとは

てんかん」と言う言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

多くの人が、

「てんかん」=「発作」

であったり、

「てんかん」=「痙攣」

と連想していて、ガタガタと痙攣したり、おかしな行動をとることを指して

てんかんだ!と言っているのではないでしょうか?

 

かくいう私も、正確な表現で「てんかん」を常に用いることはできてない気がします😅

 

なのでまずは言葉の整理をします!

今まさにてんかんが起きてどうしたらいいか知りたい!

と言う方は下まで読み飛ばしてください💦

 

癲癇(てんかん)

「てんかん」は、漢字で癲癇と書きます。

癲:狂う。気が触れる。

癇:ひきつけ。イライラする性質・癇癪(かんしゃく)

という言葉の組み合わせた熟語で、

てんかんとは、

「脳の細胞が突然過剰に興奮してしまう。そしてそれが誘引なく不定期に起こる脳の疾患」

を指します。

狂ったり、ひきつけを起こしたりする様子が多く見られるため

この字が当てられたんでしょうか?

 

発作(ほっさ)

発作、というと多くの人が痙攣とかばたっと倒れることをイメージし、

そしてそれが脳の問題と考えがちですが

発作とは「突然その症状が発現してまもなく治ること」

と定義されています。

つまり、いきなり出て消えればそれは「発作」ですので

心臓「発作」咳「発作」

など、脳以外の疾患でも発作という用語は用いられます。

 

痙攣(けいれん)

てんかん=けいれん

あるいは

けいれん=発作

として認識されていることが多いですが、

これも微妙に違います。

痙攣とは「自意識とは関係なく起こる筋肉の痙攣」のことです。

全身ガタガタ震えることを思い浮かべますが、

疲れやストレスなどで目蓋がピクピクしたことはありませんか?

あれも「痙攣」の一つで、眼瞼痙攣と言います。

また、重度の筋肉疲労によって足が痙攣してしまうこともあります。

 

 

硬直性間代性発作(きょうちょくせいかんだいせいほっさ)

では、ガクガク・ガタガタと全身を硬直させて意識がなくなるような

あの症状は、なんというのでしょうか?

それは、硬直性間代性発作とよばれる症状です。

「大発作」、「強直間代性けいれん」とも呼ばれたりするようです。

 

聞いたことないですよね😅

だから普段は診察ではあまり使わない用語ですね。カルテにのみ記載します。

患者さんには、「けいれん」ですね。としか言いません笑(結局かよ!)

 

 

 

用語のまとめ

つまりなんなのよ!

となりますから整理します笑。

 

「てんかん」とは神経細胞が過剰興奮する脳の疾患

意識を伴うような痙攣はてんかんでよく見られる症状で、

この状態をよく「てんかん発作」と表現します。

しかし正しく表現し直すと

「てんかん」により起こった「強直性間代性発作」(いわゆる「けいれん発作」)

が皆様の見る症状の正体です。

 

用語のまとめだけで大分混乱しますね笑。

ちなみにてんかんによる発作の種類は

痙攣発作以外にもあり、

さらに細かく定義されていますので、

気になる方は専門医の記事をご参照ください笑


家でけいれん発作が起こったら?

さて、ここからが本題です。

*早速正確な表現をつかいました。「てんかん発作」だとどんな発作か正確には定義できません。

 

おそらく発見して、やばい!と感じるのは

けいれん発作ですので、それが起きた場合を想定します。

*ここからは「発作」と記載します。

①まずは落ち着いて動画撮影、時間記録

この初動が激ムズですよね。

普通は慌てて抱き上げて、

「〇〇ちゃん!?大丈夫!!!??」

と言ってしまいます。

私もそうする自信があります←

 

しかしそうしたい気持ちを抑えて、動画を撮ってください

そして、時間の記録をしましょう。

この発作の多くは数分以内に収まりますが、治った後には

何事もなかったかのように過ごしたり、

ボーッとしてしまい、

医者や獣医師が見る際に、当時の状況を知る術がなくなってしまいます。

正確に状況を把握するため、

冷静に行動しましょう。

 

また、発作を止めるためにご自分でしてあげられることは残念ながらまず、ありません

*薬をもらっている場合を除く

 

②やってはいけないこと

慌てて抱き上げたり大声を出すことは

状況によっては

噛まれたり、より発作がおさまりにくい興奮を持続させることになるため、

やめましょう

ごく稀にいますが、目を覚まさせようと叩いたりもダメです。

 

当然ですが、放置もしないでくださいね。

 

③やるべきこと

動画撮影をしつつ、2人以上そばにいる時にはもう1人の方が、

いない場合には撮影している方が、

1.周囲の安全確保を行いましょう。

ぶつかっては危ないものをどかしたり、角をふとんなどでカバーしたりします。

2.もし泡を拭いている場合

噛まれないように注意しながら、横向きに寝かせましょう。

また、落ち着いた後に泡やよだれを拭いてあげましょう。

3.動物病院へ受診可能か連絡

病院へ行くことが可能であれば、状況を説明して指示を仰ぎましょう。

場合によっては発作を落ち着かせるための注射をしなければいけません。

様子を見ていてはどんどんと状況が悪化するため、躊躇わずにご連絡をしてください。

 

注意しなければいけない発作

・5分以上持続する時/発作がおちついたと思ったらすぐにまた発作になる時

発作重積と言って、脳のダメージが大きく、生命の危機が高まっています。

できるだけ早く受診が必要な状態です。

 

・嘔吐や多量の泡を吐いている時

誤嚥性肺炎を引き起こすリスクや呼吸困難となる可能性があります。

場合により迅速な対処や注意深い経過観察が必要となりますので

こちらも早期の受診が望まれます。

 

もちろん、上記以外の発作は様子を見ても大丈夫、というわけではないので

病院への連絡は行うようにしましょう!

 

病院へ行ったら

お電話でもお聞きしていると思いますが、

できるだけ落ち着いて状況をお伝えください

電話よりも詳細にお話をお聞きします。

 

発作重積の場合にはすぐに発作を落ち着かせる必要がありますので、

処置をしながら同時並行でお話を聞くことがあります。

 

発作が落ち着いている、本人が元気の場合には

慌てることはありません。

診察室に呼ばれたら、ゆっくりとお話をお聞かせいただき、

行う検査についてご相談をいたします。

 

検査について

発作は、すべて脳疾患である「てんかん」によるものとは限りません。

また、例え脳の異常はあっても、その原因が

中毒物質であったり、肝臓・腎臓・心臓などの異常からくるものもあります。

それらを正確に見極めるために

血液検査・レントゲン検査・超音波検査・心電図検査・血圧検査

などをご提案します。

 

検査は発作の原因を推定するために行います。

心臓病・腎臓病・肝臓病などの一症状として

発作が起きていた場合などでは、

原因の治療を行う必要があるため、

できるだけしっかりと検査を受けると良いと思います。

 

診断とMRI検査

検査にて発作の原因となりうる疾患が見つかれば、

確定(暫定)診断となり治療に入れますが、

発作につながる明らかな原因が認められない場合には、

原因不明の痙攣発作となります。

 

こういう場合、多くは「てんかん」によるもののため

原因不明のてんかんとして「特発性てんかん」という仮診断を下します。

 

この場合には原因の確定のためには

MRI検査が必要となります。

 

MRI検査は麻酔が必要となりますが、

脳腫瘍など特別な治療が必要な疾患を見つけるためには

行わなければならない検査になりますので

状況が許せば積極的に検討しましょう。

 

なお、宮城県でもMRI検査が実施できる施設が複数箇所ございますので

東京などにある高度医療施設へ行く必要はありませんよ!

 

治療

治療については

①原因治療

②抗てんかん薬

の大きく二つに分けられます。

原因がはっきりとすれば、それにより大きく治療方針は異なります。

外科手術、放射線治療、抗癌剤などが

必要となるケースもあります。

 

それとは別に、起こっている発作を止める治療は行わなければなりません。

これが抗てんかん薬の内服による治療です。

 

抗てんかん薬による治療

抗てんかん薬は複数種類存在します。

一般的に最初に使われるお薬は第一選択薬としてガイドラインがありますので

それを投薬することになります。

内服を始めたら基本的には一生涯投薬を続ける必要があり、てんかんが治って薬が必要なくなる。

という期待は薄いですので、認識していただく必要があります。

*最近発作が起きてないからやめていっかなー?はNG!

 

また、内服の投与初期には効果が十分ではなく、

発作が起こる可能性があります。

そのため状況によっては効果の表れるのが早い内服を使用したり、

頓服薬を併用したりします。

 

もし一つの薬で効果が見られない場合には

・薬の増量や変更を行う。

・複数種類の内服を行う。

などの対処をします。

 

このような治療を行なってうまく発作が管理できれば、

基本的にてんかんで命を落とすことはなく、

寿命を全うすることが可能です。

定期的な薬の濃度検査を行ったり、副作用のチェックをするために

通院は必要となりますが、良好な生活の質を維持することが

可能な病気ですので、安定するまで一緒に頑張りましょう!

 


 

てんかんの細かい病気の分類や解説については割愛いたしましたが

それでも大分ボリューミーになりました💦

 

今回で榎原が書いたブログの100件目になります☺️

いつも読んでくださっている方、ありがとうございます!

 

これからも精進しますのでよろしくお願いいたします(`_´)ゞ

©森のいぬねこ病院