スタッフブログ

2023年11月11日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

猫の心臓病ー犬とのちがい

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

 

本日はポッキーの日ですね!

コンビニにあった美味しそうな味をいっぱい買ってきました(笑)

いちばんの人気は「冬のくちどけ」っぽいです🤔

ちなみに私は極細が好きです。

 

さて今日は、猫ちゃんの心臓病についてお話ししようと思います。

猫ちゃんの心臓病は、犬の心臓病と違って

予後が悪く、また発見も難しいので

積極的な健康診断で早期発見をしてもらいたい病気の一つです><


肥大型心筋症

犬で最も多い心臓病(9割とも言われています)は、

僧帽弁閉鎖不全症

という弁膜症ですが、

猫で最も多い心臓病は

肥大型心筋症という心筋症です。

正常な心臓のシェーマ。
ピンクの部分は酸素を多く含む血液が流れる左心系
青い部分は酸素の少ない静脈血が流れる右心系です。

 

僧帽弁閉鎖不全症について

心臓の中で、

左心房と左心室を隔てる膜のような構造が

僧帽弁です。

血液が逆流しないように

一方通行のための弁構造であり、

正常な心臓では左心房から左心室へと流れた血液は

左心房へと戻ることなく

大動脈へと滞りなく流れることができます。

その弁がなんらかの原因で閉じなくなってしまい

血液が逆流するようになった病気

僧帽弁閉鎖不全症です。

 

肥大型心筋症について

対して、猫の肥大型心筋症では

主に左心室という心臓の部屋を作る筋肉が

分厚く変化します。

この変化は、一部分的であることもあり、

初期にはとても軽微な変化であったりします。

次第に左心室の部屋を圧迫するようになると

血液が入るスペースが狭くなるため

左心房から左心室へ血液が

十分に流れることができなくなります

これが、肥大型心筋症の進行の仕方です。

 

二つの疾患の違い

犬と猫の心筋症の最も厄介な違いは

聴診での違いです。

犬の僧帽弁閉鎖不全症は

血液の逆流が心音の雑音として聴取されるので、

早期に気づくことができます。

 

対して、猫の心筋症では

心雑音がはっきりしないケースがあり、

気づけるレベルになった時には

酷く進行してしまっていることになります。

(しかも怒っていたり、ゴロゴロ音で聞こえなかったり、聴診自体の難易度も高い。。)

 

二つ目に、猫の心臓病は血栓症を引き起こすことが多い

という点です。

犬の心臓病では咳や呼吸困難、動きたがらない(疲れやすい)

などの症状が最初に現れることが多いのですが、

猫ちゃんはこれらの症状を示さず、突然

血栓が足へ向かう血管に詰まることで

麻痺・壊死を起こす

血栓症を引き起こすことがあります。

血栓症は最悪の場合(両足の麻痺・直腸温の低下)、

何も治療できずに死亡することもあります。

 

一つ目の違いは、気付きにくいという点。

二つ目は、突然、非常に重い症状を出す。

これだけでもう、非常に厄介ですよね。

進行した各心臓病のシェーマ
猫では血栓が問題となり、犬では徐々に心臓全体が拡張するように進行する。

早期に発見するためには?

先ほど言いましたように、発見をするためには

聴診では見過ごされます

レントゲン、超音波検査を行ってようやく診断することが可能です。

また、レントゲンでも初期の病変は判断が難しいため

確実な早期診断のためには

超音波検査が必須と言えます。

 

最近では、NT-proBNPという

心臓にかかっている負荷を血液中の成分から

調べることが可能になりました。

心臓超音波と組み合わせることにより

より早期に自信を持った診断を下すことができます。

 

健康診断を受けましょう

当院では、循環器健診コースにて

この超音波検査血液検査を実施できますので

心臓病の心配のある患者様には是非受けていただきたいですね。

 

どんな子に発症が多いの?

どんな子に発症が多いのか分かっていれば、

健康診断を受けるべきか参考になります。

 

メインクーン・ラグドール・アメリカンショートヘア

遺伝的に発症が多いことが知られています。

他にも、

ノルウェージャンフォレストキャット・ブリティッシュショートヘア・

スコティッシュフォールド

でも遺伝性の素因が関連している

と考えられています。

ちなみに日本猫はほとんどがMIXと考えられますが、

遺伝子を持っていれば発症する可能性があり、

実際に白猫さんで急死した例を見たことがあります😢

 

何歳ごろからなるの?

これも7歳から健康診断で見ればいいやとか

目安となる年齢があるといいですよね。

診断時の年齢には幅があり、5.5歳を平均として

4ヶ月から16歳と幅広い年齢での報告があります。

経験的には中齢から高齢の猫で見つかるケースが多いですが

たまに1、2歳で診断がつくこともあります。

 

 

治療

進行程度や状況により異なります。

中には無症状のまま一生を終える子もいますので、

・軽度であれば状況により1〜6ヶ月毎の超音波による経過観察

・血栓症リスクがあれば血栓予防薬

・心不全兆候があれば利尿剤や強心剤

・高血圧、頻脈などの併発病態があればその治療薬を用います。

手術による治療は現在のところ確立されていません

 

悲しいことに。。

残念ながら急性血栓塞栓症により発覚した場合は非常に予後が悪く

場合によっては安楽死が進められます😨

また、血栓症にならなくとも、

うっ血性心不全といい、

胸水の貯留や肺水腫が見られ始めると

最初は治療の反応が見られ状態が回復しますが

だんだんと悪化の間隔が短くなり、衰弱していきます。。

 

明るい話題は?

現在はどうすればこの病気を早期に発見できるか?

そしてどのタイミングでどういう治療を行えば

発症を遅らせて健康寿命を延ばすことができるのか

が研究されています。

この病気の特性上、診断されるのが遅く

無症状で発見されるケースが少なく

情報が集まらないのが課題ですが

近い将来、良い治療法や診断法が確立することを願います><

 


今日は少しブルーな内容になってしまいました><

発症年齢も品種も、はっきりせず、誰にでもなる可能性がある

と思って健康診断を受けるしかないなと思わせますね🤔

 

今日はこの辺で^^

©森のいぬねこ病院