スタッフブログ

2019年04月26日  

投稿者:榎原陸

心臓病の自宅ケア

皆さんこんばんは!

副院長の榎原です。

 

だいぶ期間が空いてしまいました。。

 

私事で、

我が家の愛犬ゴローくんが虹の橋を渡っていきました。

6日から食欲がなくなり、17日にこの世を去るまで

毎日ありがとうを言い続け、悔いのないお別れをすることができました。

17歳と9ヶ月の大往生です!
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僕にとってなによりも大切な愛犬がくれた幸せを

これからは患者さんの幸せに還元できるように

これからも頑張りたいと思います。

 

さて、私事はこのくらいで失礼して!

前回の続きで、

心臓病のワンちゃんに自宅でしてあげられること

について書いていきたいと思います。

 


前回お伝えした僧帽弁閉鎖不全症についてお話します。

僧帽弁閉鎖不全症は、その進行度合いによって

治療すべきかどうか、またどんな治療をすべきかどうか

ある程度のガイドラインが存在します。

 

アメリカ獣医内科学学会(ACVIM)

というところで毎年専門家たちが集まって、

「このくらい進行した子にはこの治療だよね。」

「そーだよね」

「いや違うでしょ。」

なんてことを話し合って決めています。

 

そのガイドラインで示される、

重症度に沿ってお話をすすめたいと思います。

 

まず、最も低いステージであるステージA

こちらは実際には心臓病がないが今後

心臓病となる可能性が高い犬種や状態の子。

ということなので

言ってしまえばご自宅では特別なことをする必要はございません!

元気に過ごしてね!笑

また、症状がなくとも1年に一度、

レントゲンを含む健康診断を受けると良いと思います。

 

 

次に、ステージBです。

この段階は、ステージB1ステージB2

に分けられています。

ステージBではレントゲン検査や心臓超音波検査で

明らかな心臓病と判断される変化が認められます。

その中で、治療が積極的な必要な段階が2、

まだ経過観察や一部の治療でいい段階が1

となっています。

 

もしご家族のワンちゃんがステージBであると

診断されたら、

まず3ヶ月から半年の経過観察(エコー検査)を

推奨しております。(検査時期は担当の先生の判断によりけり)

それにより、ステージ1の子は治療開始のタイミングを見逃さないように注意したり

ステージ2の子には治療経過の確認とステージ3への進行を見逃さないことができます。

 

ご自宅では、このころから

・過剰な塩分を控える(ジャーキーなどのおやつはだめよ!)

・過剰な肥満を正す(痩せすぎにも注意)

・興奮や激しい運動を控える

などの

生活管理をしていくと良いでしょう。

特に夏には体温が高くなりすぎたり、

レジャーなど行かれる際には

日ごろと違う環境によるストレスから頻呼吸、頻拍となり

心臓に負担がかかる事が多くなるので

注意が必要です。

 

 

次にステージCの段階です

このステージでは前回のブログで解説した

肺水腫が発生します。

つまり、心臓の機能が著しく低下しています。

症状としては痰が絡んだような咳を軽い運動でしたり、

寝ているときにもすることがあります。

そのため治療としては利尿剤などの肺水腫に対する治療薬が追加されます。

 

ご自宅でのケアとしては、

・引き続き塩分摂取の制限、

・運動制限(興奮させない)

・肺水腫の発生を見逃さない事

が必要となります。

 

 

肺水腫を発見する上で大事なのが、

呼吸数の測定です。

通常、ワンちゃんの呼吸は一分間に10回から40回の間です。

しかし肺水腫を発症したワンちゃんでは、

呼吸数が40から60回以上と増加したり、

夜苦しくて寝られずに何度も起き上がり体勢を変えたりします。

 

ワンちゃんの呼吸回数を測ることで、

少しでも早く異常に気づき、病院に連れて行くことが出来ますので

測定方法をマスターしておきましょう!

 

やり方は簡単です。

ストップウォッチを用意して、15秒にセットします。

そして胸の上下する回数をカウントします。

胸が上がって下がってで、一回です。

ワンちゃんがゆっくり寝ている時に測ってください。

起きているときや、運動後では

正確な呼吸数が分かりづらくなります。

 

 

ステージCでは一回肺水腫が発生したとしても、

適切な治療と自宅管理で、ステージBのときとほとんど変わらない生活を送れます。

しかし、おくすりを使っていても肺水腫を何度も繰り返してしまったり、

呼吸困難な状態が持続する状態。

つまり、難治性心不全がステージDと判定されます。

この状態では基本的に入退院を繰り返し、

通院で管理できていても大変な不安を抱えることになるでしょう。

 

おうちでできることはないのでは?><

と思われるかもしれませんがそうではありません

逆に、大きなストレスを感じる入院よりも

お家でのリラックスできる安心感が

本人にとっては嬉しいことかもしれません。

入院での治療はステージDの子にはとても大事です。

しかしお家に帰れる状態であれば、

安心できるお家での療養も同様に大事なこととなります。

可能であれば、お家に酸素室を用意してあげると良いと思います。

酸素ボックス内は大気中よりも高濃度の酸素で満たされる

ようになるため、呼吸困難な状態が楽になります。

酸素ハウスのレンタルは院内でおすすめの業者さんをご紹介しています。

たまに酸素ハウスが嫌で逆に興奮してしまう子もいますので

その場合には無理やり入れて興奮させないように気をつけましょう

 

 

以上が心臓病のそれぞれのステージで出来る

自宅ケアのポイントです!

細かい食事内容や薬膳、サプリメントなどについては

今回は触れていませんが

今の時代いろいろなものが心臓に良い

と言われて出回っていますので、気になったものについては

獣医師に相談してからトライしてみましょう!

 

明日からGWですが

皆さんが長期休みから無事に社会復帰できますように笑

※森のいぬねこ病院は連休中も変わらず診察を行っております!

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