スタッフブログ

2018年12月24日  

投稿者:榎原陸

ステロイドと漢方

こんにちは、ご無沙汰になってしまいました!

副院長の榎原です!( ・∇・)

写真は我が家のフィオさん、ダンボールに目がないです笑

 

今年も残すところあと1週間となってしまいましたね。

この季節、急に寒くなったりあったかい日があったり

年末年始にむけて忙しくなったりと、

体調を崩す人が増えているようです><

僕が体調を崩すと患者様を見れなくなってしまって大変なので

怪しい時はよく食べて早めに寝るようにしています!(太る)

 

 

さて、前回の僕の記事はペットの漢方治療についてでしたが、

記事を公開してから何回か

”漢方もやっているんですねー。”

と言ってくださる方も来てくださいました^^

でも皆さん口を揃えて、

ペットにも漢方薬ってあるんですね。

っておっしゃいます。

 

ペット専用に開発されたものがあります!

とはいっても、厳密には漢方”サプリ”なので

必要に応じては他のお薬(西洋医学的な)と同じように、

人用の物を使ったりもします。

 

当院で扱っている漢方(一部)

 

漢方薬の効果の元となるエキスは、

自然の生薬なので、たとえ人用のものでも用法、

注意さえ守れば安全に使うことができます。

(実際、通常処方でどうにもならない時に使うと高い効果を実感します。。)

 

 

ところで

”漢方薬は安全だ、副作用がないんじゃないか

その分効果って本当にあるの?”

というイメージを持たれている方も多いと思いますが、

どちらも大きな誤解です。

うまく処方すれば例えば抗生物質の全然効かなかった外耳炎を治すこともできますし、

逆に漫然と自己流で飲み続ければ命に関わる危険な副作用だってあります。

 

今回から数回、実際に私が病院で見させていただいている患者さんを紹介しながら、

西洋医学の代表?としてステロイドを使った治療の成功、失敗

漢方薬を使った治療の実際をご紹介したいと思っています!

 

紹介は次回からにして、

今回はステロイドについて軽く触れておきたいと思います。

 

【ステロイド】

もともと体内で作られるホルモンの一種”コルチコステロイド”

同じ性質を持つお薬の総称を、ステロイド剤と言います。

その強さから、Strongest(もっとも強い)からweak(弱い)まで、

5段階に分けられていますが

獣医療で主に使われているのは一番弱いプレドニゾロンという薬剤です。

 

プレドニゾロンの主な作用は、

ストレス抵抗性を高める、そして抗炎症と免疫の抑制です。

そのため、獣医領域では主に、

・大怪我やショック状態にある動物への緊急的使用

・アトピー性皮膚炎

・免疫が過剰となり起こる病気(リウマチや免疫介在性溶血生貧血など)

に使用されます。

 

みなさんがよく獣医に処方される場合は、大抵が

”痒み”

がある場合です。

アレルギーが元になる皮膚のかゆみは免疫がおかしくなり、

続く炎症がさらに痒みをひどくするため、

その負のサイクルを止めるのにステロイドはうってつけなわけですね。

 

しかし、うっかりそのかゆみ止めに頼りすぎてしまった場合、

かなり大変な副作用を引き起こすリスクもあります。

代表的なものに

・多飲多尿:水をがぶ飲みし、おしっこが増える

・多食による肥満

・肝臓の障害

・筋肉が衰える

・お腹が張る

・免疫の過剰な抑制:免疫不全

・皮膚が薄くなり、弱くなる

・血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが上がる

・高血圧や糖尿病

それによる白内障、神経症状、心臓病などなど

軽く上げただけで恐ろしいものが出てきますね。

 

普通かゆみ止めで処方される分には短期間なので

これらの症状まで出ることは少ないのですが、

ステロイドに頼らざるを得ない病気や

痒みを抑えるために漫然とした使用を続けてしまった場合に

出現することがあります。

 

次回から、そんな副作用が強く出てしまった子も紹介できたらと思いますので

乞うご期待です!

(患者様の同意を得て書かせていただきますので、お待ちください!)

 

それでは皆様、メリークリスマス〜^^

 

©森のいぬねこ病院