スタッフブログ

2024年01月05日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

急にぐったりしました!

こんにちは、芋沢院の榎原です☀️

 

今年も始まって早5日、世間では元旦から

いろいろなことが起こり、慌ただしい正月となりましたね。

能登半島地震に被災された方、ご家族の方には

謹んでお見舞い申し上げます。

 

この年末年始は急患の受け入れも行っていた

森のいぬねこ病院ですが

急患というと、

急にばったりと倒れたり

交通事故などで大怪我をすることを思い浮かべるかと思います🤔

 

今日は犬で多い急患の一例として

「急に倒れてぐったりとしている」

症状で来院した場合について

病院ではどんな対処をするか、

情熱大陸のBGMでご紹介したいと思います笑

 


急に倒れてぐったり…で考えることは?

まず、急変、と言われて考えるべきことは

その動物が意識はあるのかどうかです。

その次に呼吸、心拍があるかどうかと見ていきます。

もし意識も呼吸がなく。。。

という状態なら即、心臓マッサージで救命救急処置開始です⚠️

 

意識が正常あるいは朦朧としているがある状態でしたら

呼吸・心拍の異常がないかどうかを評価して、

緊急的な異常があれば処置(酸素化、気道確保、血管確保など)を優先し、

緊急的な異常がなければ、詳細なチェックを慎重にしていきます。

 

「詰まった・ねじれた・破れた」

私が参考にしている救命救急分野の格言ですが

もし本当に動物が急変したのだとしたら

体内のどこかでこの3つの状態がないかを探せという意味です。

つまり

・詰まった→血管や尿道、胆道・消化管の閉塞

代表的な疾患)異物の誤食、尿管結石、血栓症

・ねじれた→子宮や腸管、精巣、肺、肝臓などあらゆる臓器の捻転。

代表的な疾患)精巣捻転、肺葉捻転、胃捻転

・破れた→血管の破綻、臓器の破裂などによる出血

代表的な疾患)脾臓腫瘍破裂、子宮蓄膿症、膀胱破裂、骨折

 

以上のようなものがないかを探っていきます。

見つかれば、原因はおそらくそこです。

 

加えて低血圧・低血糖・低体温などの意識障害を起こす問題がないか?

これらは、明らかな詰まり・ねじれ・破裂がなくとも起こりますので

同時にいろいろな面から評価していきます。

 

救命救急の現場では、意外とわけがわからない病態というのは

少なく、やはり教科書に緊急疾患!として書かれているもののどれかに

当たることの方が圧倒的に多いです。

先人たちの情報に感謝ですね。。

上にあげたもの以外にも救命救急の現場ではたくさんの

tipsと呼ばれるポイントがまとめられています。

このtipsをどれだけ覚えているか、パッと想起できるかは

救急医の腕の見せ所ですね😁

 

問診と触診で状況を見極める

上記のことを頭に入れながら、

飼い主様からお話を聞かせていただきます。

交通事故などあれば原因ははっきりしてますし

その他にも

・異物の可能性

・避妊や去勢の有無

・持病の有無

・変わった兆候は本当になかったか

・中毒の可能性(飼い主様が気付いていないものもある)

など、問診だけでかなり状況が絞り込めます。

 

そして、場合によっては体を触る・聴診を行うだけで

・大きなしこりの存在

・腹水の存在

・腹部の痛みの有無

・心臓・肺の雑音

・骨折や内出血、外傷の有無

・膀胱の尿の蓄積の状態

・脈圧の異常、脱水など循環の状態

 

など様々なことがわかり、診断にグッと近づきます。

 

画像検査・血液検査で確定診断を

大体の場合で問診と身体検査で推測がつきますので

血液検査・画像診断は確認・確定のため実施します。

 

もちろん中には身体検査などではっきりしないような

ものもありますので、そういった時は各種検査結果を

見合わせた後に、改めて総合的に判断していきます。

 

目の前の餅に釣られない!

これは獣医師として私が常に気をつけているところですが

「〇〇病だろうな」

と決め付けてかかり、実際その通りの検査結果が得られたとして

「この子は〇〇病だ。」

としてそれ以外の疾患の併発や、そもそも違う可能性を除外しないことです。

人間、大きな問題が見えるとそれに集中しがちですが

実は裏に見えない小さな問題が多く潜んでいます😅

動物の体の中では、それら小さな異常が積み重なって

実は大きな問題となっている可能性があると

常に気を張っています。

 

なので、中にはこの病気がわかったら

もうその治療だけすればいいでしょう、検査は最低限

としたい方もいるのですが

難しい状況であればあるほど、

細かいところまで全身チェックしてから治療に入るようにします。

そうしなければ、「小さな病変」に足をすくわれるかもしれません。

 

飼い主様にできることは冷静になること!

ここまで動物病院で行う対処について

お話しを進めてまいりましたが

飼い主様が行うべき最も大事なことがあります。

 

それは、まず冷静になることです。

先日も、骨折したかも?というわんちゃんの飼い主様からお電話がありましたが

慌てていたため、お電話では状況確認が難しいところもありました😅

 

パニックになってしまうのもとても良くわかりますが、

慌てて病院にいらっしゃると思わぬ事故を起こすかもしれません。

そういったことを防ぐためにも、

お電話の間にできるだけ落ち着いていただけるように

丁寧なスピードで対処させていただきます😌

とにかく早く対応してほしい!

そのお気持ちは痛いほどわかりますが

ご容赦くださいね。。

 

また、問診の際にはできるだけ落ち着いて、

前後の状況をお聞かせいただけることができれば

診断への近道になります。

ご家族が2人以上いると

どちらかが冷静になりやすいので、

できるだけ複数人で対処されることをお勧めします。

 


本日は年末年始にあった一幕を思い出しつつ

緊急時の対応について

我々がどんなことを考えているのか?

をご紹介してみました!

 

少しでも当院での診療に安心感を持ってくだされば幸いです☺️

©森のいぬねこ病院