スタッフブログ

2024年08月03日  

投稿者:森のいぬねこ病院 スタッフ

ステロイドに頼らない皮膚病の治療ー猫の舐め壊しー

こんにちは!芋沢院の榎原です☀️

 

ようやく梅雨明けなのか、雨が落ち着いて

良いお天気ですね☀️

おかげで暑さに拍車がかかりました😭

 

受診される患者様も、朝の食欲がおちた。

と、夏バテ気味のようなお話を良くされています。

実は中医学的に夏のこの時期というのは、

心や消化器がダメージを受け

不眠や食欲不振、そして熱が籠ることによる皮膚病

が起こりやすい時期です💡

 

暑さを避けると同時に、熱を覚ます食材のトッピングや

熱を覚まし不眠を解消する漢方薬などで

うまく暑い季節を乗り切りたいですね😥

 

さて今日の本題ですが

ちょっと長すぎなタイトル笑

「ステロイドに頼らない皮膚病治療!」

「猫の舐め壊し」編です😁


猫の皮膚病について

猫の皮膚病は、実はわんちゃんほど多くはないのですが

治療に苦慮することが少なくないです。

 

なぜならば、ひと昔前までわんちゃんの方が

圧倒的に受診数が多く

猫は散歩もしない子が多いので

犬よりも清潔で皮膚病にかかりにくい

ということがまずあげられます。

 

そのため動物病院でも猫の皮膚疾患を見る機会が少なく

診断技術が低い

同時に治療の選択肢が少ない😱

ということが難しいポイントです。。

 

結果、猫の皮膚病→とりあえずステロイド。。。

ということが多い様に感じています。

 

事実、ステロイドで長く治療しているが、なかなかよくならない。

ということで受診する・専門医へと紹介されるケースは、非常に多いです。

 

猫の舐め行動について

猫の舐め行動は、痒みがある場合や、

なんらかの原因でグルーミングが過剰に行われている場合で

脱毛や皮膚の炎症を引き起こし、病的となります。

 

先に述べた様に、多くの猫ちゃんは家屋内で飼われており

予防薬の効果も向上した現代では

あまり皮膚の感染症により痒みが生じているケースは

多くありません。

*もちろん、外に出ている猫さんや
お家に来て間もない子猫・野良では
皮膚糸状菌症などのカビ感染やノミ・ダニ感染を
今でも見かけます。

 

そのため猫の過剰な舐め行動の原因の多くは

①アレルギー性疾患

②心因性(精神的要因によるもの、局所の違和感)

③その他の要因(腫瘍・先天性疾患など)

になります。

 

獣医師は、詳細な問診をヒントにして

どれが最も疑わしいかを見極める

「探偵👓」となって診断をつけます🤔

 

症例紹介
ハゲるまでグルーミングした猫ちゃん

ブログのインサートにも載せましたが

こちらの猫ちゃんは

もともとストレスに弱く

過去には新しい猫ちゃんを迎えいれたタイミングで

体調不良を起こした経験もありました。

そんな子が、2〜3日ほど飼い主さまが留守にされた際に

ここまで舐め壊して、はげてしまったというわけです。

 

診断は②心因性

これは非常にわかりやすいですね笑

外には全く行かず、膀胱炎や腫瘍など

そのほか体に違和感を覚える疾患も認められず

当然食事など変更はなくアレルギーの疑いも低いです。

 

状況証拠的に1番疑わしいのは

ストレス・不安によるグルーミング行動の増加

でしょう。

*赤いプツプツは丘疹・一部は膿疱。毛包の炎症や細菌の増殖などで見られます。

が、メインではなく舐めたことによる二次的な病変でしょう。

 

治療法は…

さて、診断はつきました。

治療はどうしましょう?グルーミング・ストレスとはいえ、

舐めてるんだから痒いんだろ?

痒み止め=ステロイドだ!

 

丘疹・膿疱があるんなら感染してるだろ?

感染=抗生物質だ!

 

こんなやり方、アリかもしれませんが

私はできるだけやりたくないんです。。

*状況により使うことはあります。それも診断(培養)をしっかりつけてから。

 

なので

体の熱感をとり、精神的に安定をもたらす漢方薬

を処方させてもらい

飼い主様にはなるべく一緒にいてもらうようお願いしました。

 

それでしばらく後↓

ここまでよくなりました。もう一息

 

ずいぶん改善しました!

飼い主様曰く、まだ舐めているけどかなり減ったし、プツプツしたものはなくなった。

とのことでした。

 

この子から学ぶ大事なこと

治療は必要最小限に。。

ステロイドはアレルギー性疾患をはじめとして

多くの疾患でQOLを大幅に改善する

素晴らしいお薬です。

しかし、それに頼りすぎて乱暴な治療をしてしまわない様に

気をつけなければならないなと思っています。

 

この子の様に、精神的な要因であれば

もしかしたらストレスさえなくなれば

漢方すら飲まずともよくなるかもしれません。

 

しっかり見極めて、最適最善の治療法を

見極められる様にしたいなと思います

 

©森のいぬねこ病院