こんにちは!芋沢院の榎原です☀️
最近は猫のお話しばかりになってますが
今日も猫のお話しです!
みなさんは、
猫ちゃんの肝リピドーシス
をご存知ですか?
肝リピドーシスは、日本語で言うと
脂肪肝です。
脂肪肝というとフォアグラ(鴨の脂肪肝)
が有名ですが、
猫ちゃんの脂肪肝はそんな美味しいもんではございません。
肝リピドーシスになってしまうと、
肝臓に過剰な脂肪が蓄積して肝機能不全が起こります。
結果、食欲不振、嘔吐、下痢、貧血、黄疸
など様々な症状が発生、
結果、積極的な治療を施さなければほとんどの場合
死へ至る恐ろしい病気です😱
逆に、早期に適切な治療を行えば
治癒率は90%とも言われています。
どういう原因でなるの?
直接的な原因は、肥満状態からの栄養飢餓だと考えられています。
①ふくよかに皮下脂肪を蓄えた猫ちゃんが
なんらかの原因により食事を取らなくなると
②急激に代謝に必要な摂取カロリーが足りない状態になり
焦った体はなんとかこのピンチを乗り越えようと、
③体内にある大量の脂肪を分解し、
エネルギーに変換しようとします。
④その結果、肝臓の処理能力を超えた脂肪が
肝細胞へ蓄積することとなり、
肝障害が起こります。
診断は?
症状として急激な食欲不振や嘔吐、
黄疸や元気消失があり、
血液検査上で肝臓の数値の上昇が認められれば
強く疑われます。
超音波検査では腫大した肝臓が白く観察されます。
確定診断には針細胞診検査や肝臓の部分切除生検が必要となりますが、
そのほかの肝臓障害の原因が明らかでなければ
肝臓障害の原因が肝リピドーシスだと仮診断して
治療へと移ることも多いです。
治療方法は?
治療の主体は適切なエネルギーを食事により補給することです。
特に猫は肉食動物であるため、
適切な栄養分として十分なタンパク質を含む食事を与えることが重要です。
注意点
ただし、ここで難しいのが
急激に全く食べていなかった子に
食事を与えようとしても食べてくれませんし、
無理やり口に入れても吐いてしまったり
十分な量を与えられなかったり
与えられたとしても
急激な栄養の変化に耐えきれずまた別の病態に陥ることがあります。
そのため、ほとんどの場合
治療の初期は入院が必要となります。
また、治療期間は長期におよびます。
その間適切な栄養を毎日与え続けなければならないので、
よっぽど食欲の回復が早く、嘔吐などの問題がない場合を除き
チューブ栄養を実施します。
チューブ栄養とは、首や腹部から直接食道や胃にチューブを通し、
そこからペースト状のフードを投与する方法です。
退院へ
治療初期の状態の安定化が成功し、
チューブの設置、食事の投与が順調に進めば、
退院して自宅での管理が可能となります。
血液検査の数値が改善したり、
自発的に十分な食事を取れるようになれば治療は終了です。
油断は禁物
ただし、肝リピドーシスを引き起こした
大元の原因となった食欲不振の原因が
何かは治療期間中に見極め、適切に対処しなければなりません⚠️
それを見逃していると、
治るものも治らないどころか、悪化していくかもしれませんからね。。
予防は?
まず第一に
肥満を避けることです!
肥満であればあるほど、より多くの急激な脂肪の分解が
起こりますので、肝リピドーシスとなるリスクが高まります。
第二に、
小さな食欲不振でも様子を見ないこと!!!
特にありがちなのが、全く食べなくなってから数日様子を見て
いよいよダメだと思って来院するケースです。
猫ちゃんによっては栄養状態が悪化してから
早くて24時間から48時間で肝リピドーシスに陥ります。
急激に食欲が低下したら様子見の限度は1日と思っていただいた方が良いでしょう。
食べていてもほとんど吐くような場合でも要注意です。
まとめ
・肝リピドーシスは、肥満の猫ちゃんがご飯を食べなくなって起こる
・治療をしなければ多くの場合が死亡する
・積極的な治療(入院とチューブ栄養)をすれば90%は治る病気
・食欲不振の原因となった大元の理由・病気を見逃さない!
今回は猫ちゃんのちょっと怖い病気について説明しました。
治療をすれば治る病気だけど、
治療には長期間の管理が必要で、
その間かかる飼い主様と猫ちゃんのストレスは大きなものになります。
なってから後悔しないために、
知っておいてくださいね!😉